モダン・ジャズの知られざる逸話(16)

バド・パウエル[3


今日も引き続きピアニストの部(16)バド・パウエル

ブルーノート、ヴァーヴ、RCA・・・
様々なレーベルに名盤を残したバド・パウエルですが、
プレスティッジ・レーベルにはたったの一枚を残したのみに留まりました。
「スティット、パウエル、JJ」

何とも手抜き丸出しのこのタイトル、
ジャケットも訳のわからない手抜きイラストです。
単純にソニー・スティットとバド・パウエルとJ.J.ジョンソンが演奏したからという、
ただそれだけのタイトル。
このアバウトさ、まさにモダン・ジャズです。

ここでのパウエルは、絶頂期のパウエル
すさまじいばかりのスピード感で、演奏自体をリードします。
「今日も相変わらず、俺様の調子は絶好調だぜ!」と言わんばかりのソロ。
サイドメンも必死にパウエルに食い下がります。

プレスティッジのレコード製作班も、初めて目の当たりにするパウエルにただただ声を失うばかり。
パウエル、ちょっとばかしイイ気分です。
「皆、俺様のピアノに仰天しているな。フフフ」と言った感じで、
さらにそのソロは凄みを増します。

完全に興が乗りまくったパウエルは、
まるでお約束のように、こんなことを言ってしまったんですね。
「おい、そこでぼ〜っと突っ立って聴いている背広の奴!お前だよ、お前!
 俺様にハンバーガーを一個買って来い!腹減った!大至急だ!」

この一言で、パウエルがプレスティッジでレコーディングする機会は、
半ば永久に無くなりました・・・
もうお判りですよね・・・
その背広の男は、プレスティッジの大プロデューサーだったのです。

さて、ジャケットはその曰く付きセッションから。
何とも意味のわからない、手抜きジャケット。
ジャケット美術館に載せるようなジャケットではありませんが、
ジャズのジャケットとはいえ、全部は素晴らしくないんだよ、ということで、敢えて。

まったくもって、バド・パウエルを語り出すと時間がかかります。
ここらでパウエルは終わりにして、次回はまた違うジャズメンで・・・