今日はドラマーの部(20)チコ・ハミルトン
モダン・ジャズは基本的には黒人の世界です。
割合は圧倒的に黒人の方が多い。
白人というだけで馬鹿にされたり、聴かず嫌いされたりと、
かなりの不利益を被る場合が数多くあります。
また、例外を除き、
黒人ジャズメンの活動拠点はニューヨーク等の東海岸
白人ジャズメンの活動拠点はサンフランシスコ等の西海岸です。
これまた一般論ですが、
東海岸のジャズはハードバップそのものの熱い演奏
西海岸のジャズはアンサンブルを重視した軽めの演奏です。
やはりジャズの本場はニューヨーク
有名なジャズ・クラブも多く点在し、多くの有能ジャズメンが集まっていました。
ニューヨークにいれば、それだけチャンスも多かったのです。
西海岸というだけで、東よりもかなり軽く見る風潮も
昔から今にいたるまで、依然として存在します。
ジャズの東西戦についての議論は次の機会に譲るとして、
前述の通り、例外的に東:黒、西:白の色分けに逆らうジャズメンもいました。
例えば、白人にも関わらずニューヨークを拠点としていたジャズメンのうち、
最大の大物はバリトン・サックスのジェリー・マリガンでしょう。
そして、黒人にも関わらずウェストコーストを根城にしていた
最大の大物は、今回の主役、ドラマーのチコ・ハミルトンです。
(ちなみに同じく西海岸を主戦場にしていた黒人アルト、ソニー・クリスは、
とてもウェスト・コーストとは言えませんので、除外いたします。)
白人中心のウェスト・コーストにあって、
一人気を吐いたチコ・ハミルトン。
そのプレイは多くの黒人ドラマーとは一味違うもので、
室内楽的な色合いに満ちた、極めて思索的なものでした。
当時としてはかなり先進的・前衛的なハミルトンの演奏。
しかしそれは残念ながら、ウェスト・コーストの中に埋没してしまい、
取り立てて語られる場もなく、現在まで至っています。
ウェスト・コーストにおけるドラムの第一人者は?という問いに、
誰しもシェリー・マンの名前を挙げることでもお判りの通り、
チコ・ハミルトンの名前は過小に扱われています。
やはり、西海岸に埋没してしまったのが良くなかったのでしょうか?
あるいは、そのプレイは時代を先取りしすぎていたのかもしれません。
しかしマニアであれば、ご存知ですよね。
ジャズ記録映画「真夏の夜のジャズ」における「ブルー・サンズ」を。
エリック・ドルフィーの幻想的なフルートに乗って、
ひたすら禁欲的に、ひたすら思索的にドラムを叩いていた黒人
チコ・ハミルトンのプレイを。
また、チコ・ハミルトンは、
バート・ランカスター主演のアメリカ映画「成功の甘き香り」の音楽も
担当しておりました。
そう、白人の中に混じったところで、
チコ・ハミルトンの強烈な個性は揺らぐ事が無いのです。
ということで、チコ・ハミルトン。
前述のエリック・ドルフィーを擁したクィンテットで作成した作品
「ゴングス・イースト」
ピアノを廃した代わりにチェロを導入するという実験的なサウンド
演奏は室内楽的な色合いに満ちています。
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