実践SSビジネス語録集
   『蛻変』

    
       第一章
  
ブレーク・スルー
  

 
 ブレーク・スルーとは、
困難、課題、壁などを突破、乗り越え前進してゆくこと

1−01【今後の方向】
 流通革命は価格破壊の段階を超えて次の段階へ進み始めた。そこでの方向性は、店舗・製品・従業員の本来の機能を見直せば、自ずと明らかになる。


1−02【変化する流通チャネル】
 業種系列が崩れつつある。メーカーの作ったレールの上を走る時代は終り、米屋・八百屋・薬屋・酒屋など、OO屋というメーカー系列店がどんどん少なくなっている。果たして、「業種小売」と「業態小売」のどちらが消費者ニーズに合致しているだろうか。


1−03【変わりゆく販売方式】
 POSが販売方式を「消費者リード型からフォロー型へ」と大きく変えた。前もって大量生産した商品を売りながら減らしていく「プロダクト・アウト」から、初期生産量を抑えて市場に出した商品に売れ足がついてから追加生産して売り増ししていく「マーケット・イン」へと主流は変わった。「レディメイド」・「イージーオーダー」・「テーラーメイド」など、お客の好みと商品特性を考えた販売活動が求められている。


1−04【付加価値は提案】
 製品と商品は違う。商品には夢があり、品格があり、ファッション性がある。そして、提案がある。製品に付加価値をつけるのは、我々の勉強と工夫に基づいた提案である。


1−05【本物指向】
 お客は支払うお金の範囲内で限りなく「本物」を求めている。これが顧客心理の本質であり、大が小より優っている時代は終った。小なりといえども、「本物」を目指して研究し工夫すれば勝てる時代である。


1−06【市場支配】
 寡占化が進む競争社会では、ナンバーワンの存在力が圧倒的に強くなる。一位と二位との差は二位と百位の差よりも大きくなるだろう。ナンバーワンを目指す気概を持とう。


1−07【戦略転換】
 立てた仮説を情報とデータで検証する「仮説実証法」は需要を創り出す一つの方法である。「集客」戦法では価格競争は避けられない。ならば、「創客」戦略を展開しよう。


1−08【スピード】
 世の中の変化より自分が変わるスピードが速ければ、その人は成長し、世の中をリードしていく。そのスピードは、ひとつの形にこだわらず、機に先んじて旧い殻を脱ぎ捨てる勇気と覚悟が養成してくれる。


1−09【社長の仕事】
 社長である自分から「権力」を取り除いたら何が残るか? この思考の反復が自分の「全能感」と「自己制御」をバランスさせる。そして、トップダウンとボトムアップを併用出来れば最高だ。


1−10【変 身】
 変身するということは、何かを失うことではなく、新しく得ることである。肝を据えてかかれば、どのように変わればいいか、何を為せばよいかが見えてくる。苦しい決断、辛い判断ほど自分を鍛えてくれるものはない。


1−11【脱 皮】
 人は皆、悩み、失敗を繰り返しながら生きている。そんな中で「自分の技を磨いた人」がより高いところへと脱皮していく。得意技を持つこと、これが生きていく上での武器であり、自分を見失わない精神力を支えてくれる。


1−12【器 量】
 能力とは好奇心である。物事に対して興味深く見る人、熱意を持って取組む人、正しい考え方をする人は伸びる。好奇心をもって教養を積むようにすれば自然に器が大きくなっていくだろう。


1−13【利益の源】
 勝者でも敗者でもない現状維持は永遠の停滞であり、いずれ敗者の列に並ぶことになる。新しいものへの挑戦こそが変化を起こし、利益を生む源泉となる。その過程で突然変異が生まれたなら、それが更なる飛躍のタネとなる。


1−14【見方の違い】
 人の生き方は、「周りを見るか」、「自分を見るか」、「次代を見るか」によって変わる。確かなことは、自分の持てる才能は仕事を通じて完成されていくということである。


1−15【認識の違い】
 多くの日本の経営者はマネージングアビリティ(管理能力)が重要だと思っているのに対して、アメリカのトップはリーダーシップ(指導力)こそが経営者に求められる能力だと認識している。


1−16【方法の違い】
 欧米人は、先ず問題を明確にし、次にその解決法を必死になって編み出す。そうして常識を覆し、無理だと思われていたことを克服していく。


1−17【失 敗】
 失敗は人間の宿命であり本質でもある。しかし、失敗に至った原因と過程を「考える」ことによってそこを乗り越える力が磨かれていく。失敗はまた、多彩で発展的である。そこには創造のエネルギーが宿っていると思われる。


1−18【苦い思い】
 つまらない自分を発見する「自己喪失」は素晴らしい経験のひとつである。途切れることのないエネルギーは「苦」によって蓄えられる。だから、人生は面白い。


1−19【可能性】
 鳥の世界ではあり得ないことだが、人間社会においては平凡な親に優れた子ができることを喩えて「鳶(トビ)が鷹(タカ)を生む」という。それは親子以外の人間関係に啓蒙され飛躍へと触発された時に起きる現象であり、今はトビであってもある日突然タカに変身する可能性は誰もが秘めている。


1−20【心の持ち方】
 吉川英治は述べている、「勇気なき者は人生の勝利者にはなれない。知恵のない者には仕事を成就することが出来ない。温かい心を持たない者は遂に人を動かすことは出来ない」と。容易なことではないが、勇気は自分を捨てることで、知恵は学ぶことで、温かい心は素直になることで持てる。