実践SSビジネス語録集
   『蛻変』

    
       第三章
  
 コミットメント
  

 
 コミットメントとは、
約束、誓い。物事について他人との間で取り決めたことや自ら固く決心したこと

3−01【サイレント・ヴォイス】
 経営にとって最も大切なものは「消費者ニーズと需要の把握」である。お客が何を求めているかを的確に捉え、市場に向かって自分達の答えを示さなければならない。そのためにも、消費者マインドに立脚して市場の音なき声に耳を傾けよう。


3−02【愚直さの美徳】
 ビジネス常勝の法則があるとするなら、それは「正直、素直、謙虚」の三つを愚直に実行することだと私は思う。事実は一つだから、正直であれば食い違いを生じることがない。消費者マインドと市場動向は常に変化するものだから、素直な目で見ていないとその変化に気がつかない。そして、いつも謙虚であれば「成功という心の罠」に陥ることもない。


3−03【わずかな差】
 ビジネスの成否はお店の「奉仕性、即興性、専門性」にかかっている。それらは一流へのこだわりから始まる。プロ野球選手の打率で言えば三割と二割九分の違い。その差はわずか一分に過ぎないが、この小さな差が一流と二流を別ける。常に競争相手より一段高い総合品質を保とう。


3−04【ブランド】
 ブランドとは何だろうか? 一定の品質保証なのか、同等のものを再取得するための目印なのか、いずれにせよお客にとってブランドとは信頼の基準に他ならない。「お店のブランド作り」は、店主の信念と方針をお客に伝えることから始まる。それらが具体的な形となって展開される時、お店のブランドが形を成し、認知される。


3−05【隠し味の力】
 競争相手に追随や模倣を許さない「優位性」は、接客・販売・作業など業務活動ごとの「間合い」に生じる「プロフェッショナル度」の高さで決まる。そこにお客はお店の魅力(=隠し味)を感じるものである。


3−06【学ぶ心】
 凡人は偶然に期待し、賢者は必然のタネをまく。故事に曰く、「賢者は愚者に学び、愚者は賢者に学ばず」と。また、「少にして学べば壮にして為す、壮にして学べば老いて衰えず、老にして学べば死して朽ちず」という。


3−07【日々自戒】
 魚は、腐る時に頭の方からダメになる。長い蛇も頭を切り落とすと死ぬ。どんなに大きくなろうとも、トップ次第で未来は決まる。例えば、「自分に原因がある」と分かれば、立ちはだかる壁は突破できる


3−08【真の平等】
 アリストテレス曰く、「等しきものは等しく扱い、等しからざるものは等しからざるように。ただし、その差異において」と。


3−09【リーダーの作法】
 部下に反論の余地がある間は叱らない。叱るのは精神的更生をさせる時のみで充分である。積極行動によるエラーと怠慢エラーでは次元が違う。部下が積極的である限り、大きな失敗は許し、小さな失敗を叱るのがリーダーの作法だろう。


3−10【行き届いた眼】
 新規顧客に商品一個を売るのと固定客に一個を売るのとでは、販売努力に三倍の開きがある。この事実を理解して部下の成績を評価できないようではリーダーとして失格だ。


3−11【選択眼】
 私なら、重要ポストの後継者を次の候補の中から選ぶだろう。それは、過去に失敗を経験した人、傍流にいた経験のある人、成功への明確な目標を持っている人である。


3−12【人物評価】
 周りの人たちから信頼される人物の特徴は、高い志でひた向きに努力する、憎めない欠点をストレートに出せる、いい私利私欲がある、相手の良さを認める、公平の原則で人付き合いをする、ことなどが挙げられる。


3−13【夢と希望】
 将来に夢や希望を抱くことが人を新しいことへの挑戦に駆り立て、困難や試練に立ち向かわせる。その前向きな姿勢が集中力・忍耐力・克己心・向上心・闘争心を育む精神力を生み出す。経営者は、自ら夢を描くのは勿論のこと、社員が将来に希望を持てる環境を提供することを重要職務としよう。


3−14【活性化】
 伝統やしがらみを振り切った時に合理的な精神が組織内に充満し、組織が甦生してくる。責任と権限が明確な組織には機動力が生まれ、常に「知恵」と「やる気」が充満する。


3−15【団結力】
 組織の強さの本質は、規模の大きさにあるのではなく、団結力にある。そこには「志」が存在するからである。


3−16【コスト削減】
 人員のムダを省くには少数精鋭にすることだが、そうすると、上に立つ者の能力の高さが求められる。人員コストだけに目を奪われて数合わせをすれば、会社の成長の芽を摘み取る結果に至ることが多い。


3−17【為すべきこと】
 我々は、行動する前に「出来る、出来ない」を考えがちである。しかし、何よりも先に、「それをすべきかどうか」を考えるべきではないだろうか。


3−18【懐の深さ】
 一人だけでもいい。会社の将来のことをぼんやり考える社員がいれば、その会社は確実に伸びる。


3−19【良い失敗】
 工夫を凝らしたが失敗した。しかしそれは高い水準でのしくじりであり、見方を変えれば成功である。一方、工夫なき成功は次なる失敗の最大要因となる。


3−20【モチベーション】
 逆境を乗り越えるエネルギーは、「この困難を乗り切れたら素晴らしい」と思うところに湧いてくる。なぜなら、立ちはだかる困難の向こうには想い描いてきた世界があるに違いないからである。


3−21【妥協の排除】
 合理主義は妥協することを許さない。それ故に苦労するが、遂には事を成す。その出発点が論理的思考である。つまり、本質を追究する姿勢が成否を分ける。


3−22【論理的思考】
 優れたリーダーシップには「経験科学」の裏づけがある。論理的方法論なくして強いリーダーシップは生まれない。学んだ知識と経験して得た知識の論理的な融合が未来を切り拓く推進力となる。


3−23【修 行】
 目標がなければ技は身に着かない。なぜなら、その達成が「己を克服する」ことに繋がるからである。練習や訓練は上手くなるためにするのではなく、同じ失敗を繰り返さないためにするのである。


3−24【リフレッシュ】
 揺すって旧いものを削ぎ落とすと新しいものが表出してくる。これを「シェイカー&シェイバー思考」というが、会社は組織活性化のために、人は生き方を見直すために、折りにふれてこの作業をするとよい。