実践SSビジネス語録集
   『蛻変』

    
       第四章
  
  ミッション
  

 
 ミッっションとは、
使命、役割、人や企業に課せられた務め、自らすすんで果たすべきこと

4−01【バランス】
 資本主義はミッションのあるところから始まった。戦略はミッションを果たすために立案され、ミッションが正しければ利益は確保される。ところが、近年、資本主義の根幹を「何か」が揺るがしている。その何かは「物と心のバランスの狂い」であるように思う。


4−02【理念の大切さ】
 ミッションは経営理念でもあり、事業を興す根源的な理由でもある。その事業は正しいミッションに基づいた「健全なる狂気」によって大飛躍する。


4−03【事業の目的】
 事業者にとって利益は、社会に貢献したことへの報酬である。よって、利益を上げること自体は本来の事業の目的ではない。もしも利益を稼ぐことが事業目的であるならば、多くの経営者が「果てしない利欲」に侵され、いずれ躓くであろう。


4−04【栄枯盛衰】
 二十世紀初頭の自動車黎明期には数百社のメーカーが林立していた。その熾烈な競争に勝ち残り成長を続けてきたビッグスリーが、現在、経営破綻の危機に陥っている。規模を誇りミッションへの意識を薄れさせたことが今日の事態を招いている。果たして、ビッグスリーは然るべきミッションを再構築することが出来るだろうか。


4−05【心の市場原理】
 お店の栄枯盛衰には、「世の中の役に立っているかどうか」の市場原理が働いていると考えれば、打つ手が見えてくる。


4−06【本来の姿】
 経営の成否は変化への対応力にかかっている。先行情報と蓄積体験の組み合わせ方が対応力の優劣を決める。「機に乗じ、変化に応じて」利益を追求するのが商人本来の姿である。その本質を遺憾なく発揮して得た利益を社会に還元するのもまた商人本来の姿である。


4−07【顧客第一主義】
 景気が悪くなると売れる商品のプライスゾーンが変わってくる。「不況期には薄利に徹して顧客に貢献せよ」との家訓を持つ老舗企業がある。


4−08【矜 持】
 経営者もまた一人の人間であり、過ちを犯すこともある。しかし、決してやってはならないことは、憎しみを買うこと、軽蔑される言動をすることである。


4−09【謙虚さ】
 権力を握ると、他人は「力」によって動くという幻想を持つ。しかし、「力」というものは、自ら誇示するものではなく、周りが認めるものである。そのことを肝に銘じよう。


4−10【継承者の心得】
 二代目社長が心がけるべきことは、「組織に対する理解」を深め、「実践的な勘」を研ぎ澄まし、「攻守のバランス」を最適化することである。


4−11【良い質問】
 良い質問がいい考えを引き出す。それは、良い質問がいい答えを含んでいるからである。部下に良い質問をしよう。それがリーダーの方針と戦略を浸透させていくことになる。問題のつかみ方と解決の仕方が統一されてくる。


4−12【問題提起】
 経営陣の重要な仕事の一つとして、「何が問題であるか」を提起し、社員にそれを考えさせ、回答を求めていくことがある。このサイクルが社員の働く意欲を刺激し、社員それぞれが持つ潜在能力を顕在化させていく。


4−13【真の指導者】
 人の心を甦らせることが出来る者こそ現代の指導者だ。なぜなら、理屈と感情の両面を鼓舞するカリスマ性を持っているからである。


4−14【リーダー】
 経営破綻に陥った会社が蘇生していく過程を見ていると、そこから重要なメッセージが発信されていることに気づく。社員達は懐疑的な考え方から脱却して会社の支持者に変わって行き、ついには再建計画への積極的な参加者へと見事に変貌する。勿論、そこに一命を賭す覚悟のリーダーがいたことは言うまでもなかろう。


4−15【タクト】
 指揮者が演奏をしないのと同様に、上司の仕事は、部下の日常活動にリズムを作るところにある。いかなる難事にも部下を立ち向かわせる「魅力あるタクト」が振れるなら、君は真のリーダーである。


4−16【差し伸べる手】
 現場は、困っていることを取り除いてやればエネルギーが満ちてきて活動的になる。経営者であるあなたは、あるいは経営幹部であるあなたも、現場スタッフに尋ねてみよう、「君のお店で今、一番困っていることは何ですか?」と。


4−17【新たな試練】
 今、「デコンストラクション革命」という、ビジネスの分解現象が起きている。新規参入者が「利益の一番多い分野だけ」を持っていき、既存業者はその煽りを受けて苦しんでいる。業界が生まれ変わるための試練なのかも知れない。