実践SSビジネス語録集
   『蛻変』

    
       附 記
  
 書斎の窓から

  

         

5−01【人を見るコツ】
 人物の見方は決して一様ではない、例えば「決断力のある人は短気、個性的な人は我がまま」と言われるように。しかし、付き合ってみて「飽きがくるか、こないか」は人を見る際の一つの尺度になると思う。「飽きのこない人」はいつも生き生きとして何かを真剣に求めているから。


5−02【信じること】
 それが神の御心なのだろうが、「醜女には幸福を与え、美女には不幸を経験させる」という。持てる能力は人それぞれに異なるが、神は公平である。己を信じて頑張ろう。


5−03【〜らしく】
 男は大きくて逞しく、女は優しく忍耐強い。また、男は「論理的、概念的、マクロ的」にものを見るが、女は「親身で情緒的、本質的、ミクロ的」にものを受け止める。そして、男は「良いか、悪いか」で判断し、女は「好きか、嫌いか」で判断する。それぞれに特性を発揮して、男は男らしく、女は女らしくありたいものだ。こんな風に考える私は旧い人間なのかも知れないな。


5−03【未知との遭遇】
 天才は天才を知るというが、互いに相容れることはない。我々普通人は、意見の異なる人と議論をすることが大切だ。発想の違いと異質な感性との接触・衝突が良い知恵を生む触媒になる、きっと。


5−04【文化の違い】
 唯一の神を信じるキリスト教徒は「真」と「善」に強く反応し、八百万の神を認める日本人は「美」と「情」に強く心を惹かれる。この違いが、日本人がグローバル・スタンダードに対して躊躇するところであるのかも知れない。


5−05【失われつつあるもの】
 日本民族が育んできた精神性(=魂)が死滅しつつある。武士道や忠臣蔵に代表される伝統的な「精神の形」と「情」を重んじる意識が、若い人たちの間で薄らいできている。


5−06【変わりつつあるもの】
 今も昔も西洋人は、「出来る、出来ない」の能力で人を判断する。それに対して日本人は、「善い、悪い」のモラルで人を評価してきたが、今やそれが危うくなっている。


5−07【潜在意識】
 人生は「滅びの美学」とよく言われる。それは、敗者が圧倒的に多いからでもあるが、勝者にも死という滅びの時が必ず訪れるからではないだろうか。


5−08【男のサガ】
 ニーチェ曰く、「男が好きなものがある。それは危険と遊びである」と。男が女を愛するのは、それが最も危険な玩具だからなのだそうだ。


5−09【進化の功罪】
 六百年前に活版印刷が始まり、百四十年前に電話が発明され、七十年前にテレビが登場するなど、コミュニケーション・ツールは進化を続けてきた。今また、パソコン、携帯電話へと大飛躍している。こうした進化が我々の忍耐力を弱くしているように思う。


5−10【賢人、多くを語らず】
 アンドレ・ジードは言った、「老人になることは容易だが、良い老人になるのは難しい」と。ついでに「良い老人とはどんな老人なのか」に触れておいてくれればよかったが、それは自分で考えろということか。


5−11【安心という危険】
 家でも環境でも人間関係でも、「壊れっこない」ということはそこに居る人達にとって気持ちのいいこと。でも、そのことが、往々にして人間を弱くする。


5−12【心の平安】
 人生を充実させるには、ちょっぴりのお金と大きな夢があればいい。


5−13【目の前の幸せ】
 自分が持っていないものを考えると悩みが増えてくるが、持っているものに焦点を合わせると幸福感が出てくる。


5−14【恋は盲目】
 結婚が大きな比重をもって人生を左右する。にもかかわらず、結婚が恋愛という最も人間の判断力を鈍らせるものの延長線上にあるのは何とも皮肉なことである。


5−15【振り子】
 江戸時代に最も平和だった元禄期は「武士道よりカネ」の風潮が強かったが、明治維新後は軍国主義に傾斜しために「武士的精神」が支配する世の中に戻った。そして太平洋戦争での敗戦を境に、再び「経済とカネ」が支配する社会になっている。あの社長は、さて、これから何を柱として社員を鍛えるつもりなのだろうか……。