実践SS学・セミナーノート


   「プロセス能力とは何か」
  〜クリティカル・パス実践フォローアップ〜







06年2月〜4月「クリティカル・パス」の実践報告

1.2月に設定した「目標とクリティカル・パス」を書き出し、その実施結果を出来るだけ数字で示してください。

2.活動する中で上手く行ったことと上手く行かなかったことは、それぞれ何がありましたか。成功もしくは失敗の要因は何であったと思い増すか。

3.この期間のクリティカル・パス活動を通じて学んだことを簡単に書いてください。




ケース・スタディ「助っ人従業員の導入」

 今、日本の多くの会社で厳しい競争を勝ち抜いていくために、日常的に起こっている社内騒動があります。それは、外部から新たに来た人たちと従来からいる人たちとの戦いです。ある石油会社であったことを以下に紹介します。よく読んで、質問に従って、あなたの考え、思い、気持ちなどについて応えてください(正解はありませんので、自分の思うままを書いてください)。

青森に10SSを経営する大手石油販売会社があります。フルサービス店を7箇所、セルフサービス店を3箇所運営しています。フルSSは、セルフ化が進む市場で、自動車用燃料油で30%、湯外収益で20%、前年より実績を減少させています。セルフSSの方は積極的な価格戦略の展開により、SS平均月間500KL・油外500千円を実現させ、何とか収支トントンで推移しています。
価格競争の余りな熾烈さを肌で感じている経営幹部は、「SS業界で勝ち残ってゆくには、何としても油外販売力を向上させなくては」と考え、一人で月間1000千円の油外を稼ぐ実力のある東京のA君をスカウトして外部から雇い入れました。
A君は、先ずフルSS(油外収益が月に1000千円)に配属され、湯外販売の手本を示すと同時に自ら販売し、直ぐにこのSSの油外収益を1800千円レベルに引き上げました。その後次々に他のフルSSに投入配属され、最初のSSと同様の実績を挙げて、期待された役割を果たしてきています。
■しかし、受け入れSS側の学習状況が不十分なことやA君本人についての良くない行状も表面化して従業員間で噂されるようになり、評判は決してよくありません。
■SSのマネージャー・従業員がA君からあまり学ぼうとしないために実力が向上しない。A君が移動すると、実績が以前と同じレベルに戻ってしまうSSが多い。
■他の従業員達から「A君のセールストークは強引で、お客さんを脅かすようなところがある。マネージャーがお客さんに謝りに行ったりしている」「A君が作業をした後は工具類が整理整頓されておらず、身勝手だ」という非難が出てきており、「飲み会で酔うと女子従業員にセクハラのような行為をするから、彼女達が辞めてしまった」という噂が飛び交うようになり、A君が自分のSSに配属されること望まない従業員が多くなってしまった。

 こんな状況から今、経営陣は「A君を解雇するべきか否か」の決断をしなければならなくなっています。問題は「A君を解雇し、従来からの従業員の気持ちを尊重して調和を取る」ことによって、「皆のやる気を起こさせ、油外販売を伸ばせるかどうか」という点にあります。
さて、この青森の販売店さんの「助っ人導入」について、以下質問します。自分の意見とその理由を書いてください。

1)あなたが青森の販売店の従業員ならA君の解雇を望みますか? 経営幹部ならどうですか?
2)あなたのSSに経営陣からA君受け入れの要請があったとします。あなたはA君を受け入れますか、それとも受け入れは無理だと言って断りますか? どちらの場合でも、その訳と理由を書いてください。
3)A君をめぐっての一連の混乱を知って、あなたは何がこんな騒動を引き起こした要因だと思いますか? よく「誰々がこうしていれば……」と思うことがあります。A君について、従業員の人達につて、そして経営幹部について、あなたの思うままを書いてください。




4月〜7月の挑戦課題

1.現在抱えている業務上の問題を書き出してください。

2.自分が取り組むべきだと思っている仕事を書き出してください。

3.上記を参考にして、4月〜7月の自分の挑戦テーマを設定してください。取り組む業務と挑戦目標、目標をクリアーするための業務項目とクリティカル・パス。




プロセス能力の重要性

■社員・従業員に求められる能力

1.基礎能力
−走る・持つ・上げる・押すなどの体力
−話す・聞く・見る・考えるなどの知力など両親からもらった本能的能力

−読む・書く・説明する・計算するなどの学校で身につけた学力

2.学習能力
−新しいこと、知らないこと、技術を覚えるなど、自ら勉強して身につく能力
   ・商品知識、作業技術の勉強

3.経験能力
−仕事を通じて、特に今までやらなかったこと・出来なかったことなど、失敗を経験して覚える能力

4.プロセス能力
−目標を達成するのに、そこに行き着く「筋道」となる活動をしっかり実行してゆく能力。−例えば、商品を販売するなら;
       ・お客さんを見つけ、「振り向かせる」声かけをし
       ・お客さんの調査、点検などにより、アドバイスし
       ・商品の説明を加えてお客さんにとっての最適商品を提示し
       ・価格についての情報を与え
       ・買う決心をさせる

5.達成能力
−上記の諸能力を駆使して目標を達成してゆく精神力、やり抜く根性、お客さんを満足させたいサービス精神




■油外販売におけるプロセス能力

1.その商品が必要だと気づいているお客さんに対して
    −ブランド、グレード、値段、何処で買うかを自分で
     判断できるお客さんである
    −よって、相当な知識と情報を持って勧める必要がある
    −特に、価格についてSSの儲けなどもオープンにしながら、
     落としどころを探り、納得してもらう
    −但し、お客さんの提示価格よりも少し高いところで販売する
     何故か。「店も儲けさせた」という気持ちを持ってもらうことが
     次への販売につながる
       ・市場での価格、オートショップの価格、自SSの価格
       ・作業料、サービスの価格に換算して提示する

2.その商品が必要であると気づいていないお客さんに対して

    −SS側の点検・提案・アドバイスに基づいて購入を決める
     お客さんである
    −安全・故障なし・長持ち・快適・経済的が最大の関心事である
    −よって、先ずは、お客さんが「耳を傾ける」アプローチが必要である
    −点検などが「売るためのもの」であると悟られないことが重要
    −なぜ購入が必要かをお客さんに確認できるようにする
        ・テスター、リフトを使用する
    −その過程で、お客さんの求めているレベルを見極める
        ・ブランド、グレード、価格帯、品質など
         について理解を深めさせる」
    −お客さんが、SS側の説明を理解すれば60%は購入する
    −充分な価格情報を与えながら、自SSが良心的価格と
     サービスを提供しているかが、それとなくお客さんに
     通じてゆくよう努力する




プロセス能力向上のクリティカル・パス

1.自分の内側を観察する
   −自分を大事にするあまり、臆病になっていないか、諦めてないか
     ・一生懸命やらずに楽をしたほうが得だ
     ・早く帰ってリラックスしたほうが、身体にいい
     ・どうせ評価されていないんだから・・・・・
     ・いまさら頑張ったてもう遅い
     ・給料はもう上がらないんだから・・・・
   −人生って何だ。我々は死に向かって生きている。死ぬために
    生きているのか。生きている間に何をするのが充実した人生に
      なるのか、考えてみる
     ・遊び、快楽を貪るために生きているのか
     ・「自分の生きた証を残す」為に生きているのか
       +子供、財産、地位・名誉、社会貢献

2.自分の使命を考える
   −自分の持っている能力、価値を使って、善なる「生きた証」を
    残し、刻みこむことではないだろうか
       +立派な子孫を残す
       +出来れば、「あの人のお陰で・・・・」と記憶していて
        もらいたい
       +家族などが、立派な生活が出来る義務を果たす
   −とするなら、自分の能力、価値を高めなくてならない
       +自分にとって「新しいこと」ことに挑戦し、失敗・経験
        を積み、自分の「能力の領域」を拡げる
   −会社の仕事、上司の指示は、「素直に」取組めば、達成できるように
    なっている
       +第1段階  「足し算、引き算」
       + 2    「掛け算、割り算」
       + 3    「方程式」、「因数分解」
       + 4    「微分、積分」
   −解けない、達成できないときは、上司に教えを請えば、やり方を
    教えてくれる。それを、「素直に」やれば、必ず出来る。出来ない
      のは、「途中で諦める」からである
   −仕事とは、失敗し、叱られながら「新しいことをマスターする」ことである。
    「自分の殻を破って」、自分の能力、価値を高めること
である

            「失敗したプラス」−「失敗したマイナス」>0

   −自分の人生を生きようとするなら、会社を良くすることに尽力する

3.自分の能力、価値を高める「コツ」
   −先ず、「自分を好きになる」ことから始める
   −自分を「誤魔化さない」
      +知らないことは、知らないといって、教えてもらう
      +解からなくなったときに、誰に教えてもらうか、「先生
       の辞書、自分のブレーン」を作っておく
      +教えてもらうための「ルール」は、「教えられたことを、必ず
       実行する」ことである

4.自分の成長、前進を阻んでいるものに打ち克つ
   −それは、自分自身の都合のよい屁理屈、目先の損得
   −自分自身の「生きがい、やりがい、充実感」を大切にする


                     端山忠彦 実践SS研究会 2006年4月度セミナーより