実践SS学・セミナーノート7
「伸びる職場を創る」
〜クリティカル・パス実践フォローアップ〜
■4月〜7月「クリティカル・パス」の実績報告■
1. 設定した「目標とクリティカル・パス」
目標、クリティカル・パス業務、結果(出来るだけ数字で表現する)
2.活動する中で上手くいかなかったこと
3.活動して上手くいったこと
4.成功、もしくは失敗の要因は何であったと思いますか
5.この期間のクリティカル。パス活動を通じて学んだことを簡単に書いてください
■「職場を良くする」ための現状分析■
1.多くの職場での出来事
−誰もが一生懸命働き、会社が利益を上げ給与が増えることを期待している
−しかし、現実は必ずしもそのようにはなっていない。その原因などを
皆で考える必要がある
−会社・職場には、長い間に亘って染み付いた「アカ、ゴミ、悪弊」な
がたまっている。それらが、我々の働き、エネルギーの効率を悪く
していると考えられる
−この良くない習慣を取り除くことによって、我々の活動のエネルギー
は効率よく仕事に伝わり、業績が向上し、やりがいのある職場ができ
あがるはずである
2.設 問
−我々の職場の発展、前進を阻害していると思われることを、具体的に
下記に従って書き出してみてください
1)従業員間の意思疎通について
2)職場のルールについて
3)仕事の進め方について
−あなたは、何を信じて職場で頑張っていますか。自分の考え、上司
の教え、尊敬できる人の訓えなどを具体的に考え、書いてください。
■7月〜10月挑戦課題・目標■
1.現在かかえている業務上の問題を書き出してください
2.自分が取り組むべきだと思っている仕事を書き出してください
3.上記を参考にして、7月〜10月の自分の挑戦テーマを設定してください
1)挑戦目標・業務
2)この目標をクリアーするための業務項目を書いてください
3)自分が取り組むべきクリティカル・パス
■「お客以上にお客様を知る」ための基本知識■
1.販売市場の動き
−大衆市場(マス・マーケット)の時代は終わった
−個性化、個別対応の時代である
−個人のニーズに合わせたマーケッティングの時代
2.顧客の生態及び類型
繭化現象 :家の中に閉じこもって、部屋の中で快適に過ごす
同族化現象:同じ様な種類の人達のグループに入りたい、所属したい、出入りしたい
関係創造型:男性と女性は行動、考え方が異なる。特に、女性は関係を重視する
小さな道楽現象:ちょっとした贅沢を求め、少し高めのものを求める
個別対応現象:自分の個性を認められることを喜ぶ
フィットネス現象:イキイキ、元気・若々しくなる商品、サービスを探す
ヨガ・アロマ現象:不安定な社会の中で精神的な安定が得られるサービスを求める
3.お客様への関心・好奇心が第一歩
−お客さんは今日朝食に何を食べたか
−子供さんは何人おられるか
−趣味は何か
−今何を考えておられるか
■サービス業に携わる者の心得■
1.サービス業の三極化
−単純労働集約的な仕事
・清掃、運搬、警備・・・・・
−知的労働集約的な仕事
・販売員、エンジニア、整備士、・・・・
−知的付加価値を創造する仕事
・作家、プロデューサー、研究者、経営者・・・
2.サービス業繁栄の骨格
−リピーターを増やさない限り成長なし
−ターゲットとする顧客を定める
−業務遂行を「消化型」から「創造型」へ移行する
ことによって付加価値を高める
−「物語性」のある販売活動の比率を上げる
・一言聞いただけで、お客さんがその内容を理解できる
■ケース・スタディー「役所の仕事」■
1.次のケースを読んで、あなた自身が感じたことを、設問に従って答えてください
−私はクルマを買い換えるに当たり、印鑑証明が必要になり、市役所に行きました
−朝の9時に行ってみると、係の職員は自席でのんきにコーヒーを飲みながら新聞を
読んでいました
−窓口に住民が来ない限り、自分達の仕事はないのだという印象を受けました
2.さて、この光景を想像しながら、あなたの感ずるところを書き出してみてください
1)最初に思ったこと
2)この職員のあり方はこれでよいと思うか。そうでないなら、何が問題でしょうか
3)あなたの職場と比較して似ているところは何ですか
4)あなたが市長なら、どの様に改善しますか
■職場の活力■
1.職場のマグマ
−安定した状態は、火山にたとえるなら、不活動期にあたる
−活動期とは、不安定な状態を正常な安定した状況に持ってゆこうとする動きである
−そうして出来上がった安定した状態が、何時しか内外の力によって
不安定なものになり、再度活動期にはいる。これが職場の活力である
2.職場の停滞と躍動
−職場が安定すると、「負のエネルギー」が働く
・リスクを回避するようになり、保守的、前例主義に陥る
・社員は上司の顔色を見るようになる
・中間管理職は上司を向いて仕事をし、部下には結果だけを求めるようになる
−職場が不安定になると、「正のエネルギー」が働く
・不安定さを克服するため、危機感が社員に積極的に働く
・社員が自立的に動き出す。つまり、言うべきことを云い、やるべきことを実行
する勢いが出てくる
−職場の活性剤は「不安定要因を創り出せる人材」にあり、その投入が不可欠である
3.職場のインフラ(基盤)
−経営のビジョンの明確化 :思想と哲学
−判断基準の徹底 :合理性の追求と社員の判断基準の徹底
−基盤となる基礎能力の構築:社員の自立的業務遂行力の強化
■職場活性化のポイント−1■
1.何が職場を硬直化させるか
1)横並び思想−飛びぬけてはいけない
2)慣行主義 −皆が理解できるよう前例などを守る
3)相互監視・相互束縛体制−突出する者、落伍する者を少なくする
2.終身雇用体制の特徴
1)業務命令 −自分で考えるのではなく、上司の命令で動く
−目的、目標を共有する
2)「人の和、チームの和」
−定年までの長期間、回りとの摩擦を避ける
−全体を個に押し付ける
3)嫉妬の構造−他から妬まれないようにする
−出る杭は打たれる
3.伸びる職場へ転換するポイント
−仕事の進め方を、「従業員の納得」型に変える
−従業員に「達成感、充足感」を持たせてゆく
・生きがい、やりがい
・可能性の追求
・自由な発想、自分の考えによる行動
・仕事が面白い
4.伸びる職場の上司のコミュニケーション法
ステップ−1 1対1による「対話」で部下の本音を聞く
ステップ−2 数人での「討論」で上司の本音を見せる
ステップ−3 「会議」で正式に伝達する
■職場活性化のポイント−2■
1.生物学の教訓
−大きな環境変化が起きると、それまでの生態系は破壊され、新しい
環境にいち早く対応できた種だけが生き残る。他の種は死滅する。
新しい環境が安定期に入ったとき、適応し生き残った種は、爆発的
に繁栄する
2.伸びる職場の骨格
・基本ルールを明確にし、遵守を徹底する
・実際に業務をやらせることが、各人の「能力、価値」の発揮を促進する
−経営陣は、各人の価値をつなぐことに集中する
−従業員配置は均質な「リレー型」から役割分担の「ラグビー型」に転換してゆく
−目的、目標の共有をもって「仕事の和」をはかる
−「見せかけの一体感」を脱する
3.職場で働く人達が追求すべきこと(使命)
1)経営陣
−会社とは何か
−自分の役割は何か
−従業員教育とは何か
2)従業員
−自分が今持っている「価値」は何か
−自分の知識、技術、経験を生かせば何が出来るか
■一般的な「職場の構造と従業員心理」■
1.職場の心理的構成要因
1)表面化しているもの
・会社の理念、方針、目的など
・会社の憲法、法律である「就業規則」、「経営してゆくための種々規則、制度」
、「その他職場のルール」
・社長・・・課長、マネージャーなど役職者の権限、責任に基づいたピラミッド型組織
・営業活動を行うための「活動戦略、方針、プログラム、目標、訓練」など
2)水面下にあるもの
・経営陣、社員、従業員一人ひとりの仕事に対する考え方、意欲、取組む姿勢、目
標、感情など
2.働く者にとってのごく普通の「本音」
・「本当は・・・・・するほうが正しいと思うが、自分ひとりが・・・・してみても、職場批
判のように受け取られてしまう。黙っているほが波風が立たなくてよい」
・「どうせ云ってみたって、何も変わらない」
・「ほかの事は考えずに与えられた仕事だけをこなす。目の前にある仕事をすることが
仕事である」
・「目立つような失敗をしないこと。失敗は何時までも評価についてまわる」
・「達成しなくても目標に挑戦している振りをし、出来ないときの言い
わけを用意しておく」
3.経営陣が組織を活性化するために一般的にやっていること
1)業績向上のための叱咤激励、論理的活動方針、実施プログラムの押し付け
2)具体的な活動、行動プロセスの管理強化
−レポート、会議資料作りの増加
4.働く者の一般的自己防衛本能
1)上司にどの様に思われているかが、会社の利益より重要な場合がある
2)自分の立場、評価・評判を守って仕事することが、永く勤めるには安全である
3)「仕事なんてこんなもんだ」という思いで、仕事に自分を適応させている
5.多くの職場で起こっている一般的事象
1)お客さんの方を向いているのではなく、上司の方を向いている
2)会議は一方通行で、社員の頭は「思考停止」状態
3)「どうせ・・・・・」と、「あきらめ」の気持ちが支配的になりがち
4)「やらせる側 VS やらされる側」の対立が底辺に漂っている
6.「体質改善」に努力すべきこと
最重要テーマ
・「自主性、自発性、自立性」が育つアプローチの継続
・会社の発展と従業員の成長・発展の矛盾をなくしてゆく
・「会社が従業員を変える」から「社員が会社を変える」へ
1)「なぜ、なぜ・・・・」による真の原因、背景を考える仕事の進め方
2)対等になって一緒に考え、行動する
3)相手の立場をよく理解し、潜在能力を引き出してゆく
4)総論と各論の一致に努力する
■論理的思考のプロセス■
1.人間が進化し続けてきた「4つの思考パターン」
1)今何が起こっているのか?
2)なぜ、そうなったのか?
3)どの様に対処すればよいのか?
4)将来どんなことが起こりそうか?
2.日本と西洋との思考パターンの違い
・日本的な特徴
−「ゴチャゴチャ云わずに、俺にまかせておけ」
−「対処はケース・バイ・ケースだ」
−「会社、上司の云うことだから・・・・」
−「雲」のようにとらえどころがなく、方向性が不明確
−西洋的な特徴・論理性が一貫している、「・・・だから・・・・である」
−「矢」のように方向性が明確
・西洋的な特徴:KT法(ケプナー・トリゴー)による論理的思考手順
ステップ−1:状況分析
チームが目的、目標に対して現在どうなっているかを書き出す
ステップ−2:問題分析
そのようになっている原因を書き出す
ステップ−3:活動と決定分析
目的、目標を達成するためにはどんなことをしなければ
ならないかを具体的に書き出す
ステップ−4:潜在的問題分析
将来に起こりそうなことを書き出す
3.論理的思考プロセスの重要性
−頭の中で理解することと、分析手順に従って書き出したことの間には大きな差が
ある
−この差がある間は、他人に自分の考えを正確に理解させることは難しい
−職場の仲間、メンバー、スタッフに、自分の考えを理解させなければ、目的・目標
達成、成功は困難である
松下幸之助
「モノの見方・考え方のコツは、身につければ百万両」
端山忠彦 実践SS研究会
2006年7月度セミナーより
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