実践SS学・セミナー(平成19年7月)

 業務領域の再構築とその心得」

                    【2007.10.11up】




[T]月−7月活動報告及び710月挑戦課題

47月活動報告(出来るだけ具体的に書いてください)

      具体的な取組み/実績及び進展状況


■お店を発展させてゆく上で、外のお客さん、内のメンバーなどにあなたが一番伝えたいメッセージ、内容は何ですか

1)お客様に対して、何が伝わればお店が良くなると思い活動していますか。あなたは、仕事でどの様な時に「やりがい」を感じますか
2)そのために、どの様な具体的な活動、プログラムを展開していますか
3)メンバー、スタッフがどの様な活動をすればお店が良くなると考え、指示を与え活動していますか
4)そのために、どの様な具体的な動き、働きかけをしていますか


710月活動計画

       具体的な目標/クリティカル・パス





[U]ケーススタディー「東京デパート戦争」

■事例
−東京の池袋には駅をはさんで、東武百貨店と西武百貨店とがある。長年のライバルである。どちらかが拡張すれば、片方が対抗するなど熾烈な競争を展開している。
−池袋から電車で10分行ったところの新宿は、伊勢丹、三越、小田急、京王などがひしめきあうデパート激戦区である。そこに、新たに高島屋が進出してきたので、デパート戦争の様相を呈している。
−しかし、新宿にはデパートが多く集まっているので便利だということで、多くのお客が集まりだした。池袋のお客も新宿に流れる可能性が出てきた。そのため、池袋と新宿での顧客争奪戦に発展してきている。
−この様になってくると、東武と西武は強力なライバルであると同時に、頼もしい味方でもある。西部が頑張れば、東武も頑張る。どちらかが欠けたら、池袋はさびれてしまうだろう。
−事実、上野には松坂屋しかなく、孤立無援である。上野という面白い町にありながら苦戦している。


■設問
1)「競争のマイナス面」について、自分が感じたことを書いてください。
2)「競争のプラス面」について、自分が感じたことを書いてください。
3)「競争とは何か」について、自分の思うところを述べてください。





[V]マーケッティングの基本

マーケッティングの使命

・消費者の欲望の発見
・商品力の充実 ・商品の普及、販売

 つまり、その時代の顧客ニーズを見抜き、より良く、より安い商品を、より早く、より良いサービスで提供してゆくこと

<参考:ライターの顧客ニーズの変化>
     40年前   ロンソン
     30年前   デュポン、ダンヒル
     20年前   使い捨て
     現在     禁煙


マーケティングの実務

    ・会計上の決まり
       売上高=単価X数量
       利益 =売上高−経費
    ・会計上の命題
       −いかに単価を上げるか  :商品力
       −いかに販売数量を増やすか:販売力
       −いかに経費を下げるか  :コストダウン


市場状況に応じたマーケティング上の課題

テーマ    市場拡大期       市場成熟期
競争手段   拠点拡大        商品力
       品揃え         価格訴求
       従業員の増強
経営の力量  仕入れ強化       企画力
       人間力         商品化の力
                   情報力
                   管理力





[W]SS業界マーケッティングの予測

1.SS業界の変遷

   項目      1970年代    1990年代    現 在
 主な扱い商品    燃料油、オイル     同左       同左
           TBAS、洗車     同左       同左
                              車検、クルマ販売
 月間ガソリン    80kl       100kl    140kl
 ガソリンマージン  20円/L      15円/L     7円/L
 正社員比率     90%        50%      30%
 求められる運営形態 バランス型    ローコスト・     大型セルフ
                      ハイボリューム
 プライスリーダー  老舗店      中規模量販店    新興販売店、PB業者


2.SS業態別評価(満点:5)

  競争項目   フル   単体   セルフ/複合   ショッピングセンター
  価格     1    3      4        5
  接客     5    2      3        1
  利便性    1    2      3        4
  集客力    1    3      4        5
  合 計    8   10     14       15


3.顧客の消費財小売店選択理由

   ・ワンストップ・ショッピング
   ・品揃え、品質、価格
   ・長時間営業
   ・専門性


4.SSに求められる運営課題

   ・高い経営効率(ハイボリューム、ローコスト)
   ・併設ビジネス展開・新商品の取り扱い
   ・他が追随できない専門性(フルSS)


5.消費者のブランド・ロイヤリティー(元売選好度)

   ・食品小売業におけるPB比率(%)
        イギリス    60
        ドイツ     50
        アメリカ    20
        日本      10
   ・PBを買う主な理由
       −メーカーものより安い    42%
       −有力メーカーが作っている  21
       −有力メーカーと同品質である 19


6.想定されるSS市場の動向

 −顧客にとっては、元売選好度より、価格的メリットのほうが強くなってゆく
 −流通業者による燃料販売ビジネスへの進出が急増する
  ・スーパー、ホームセンター、ショッピングモール
 −併設業態を持ったSSが業界をリードしてゆく
 −PBセルフの増加
 −フルSSは作業、メカの専門性を持ったところが生き残る
 −20年後には、新規参入業者が過半数以上を占めている

<参考:限界生産性低減の法則>
  ・同じことを続けていれば、その生産性、収益は次第に小さくなってゆく
  ・企業が何時までも同じことを続けながら、高い利益をあげ続けることは難しい
  ・よって、常に新しい分野にチャレンジする姿勢が重要である





[X]ビジネス領域再構築の成功事例

1.任天堂

・創業−花札、トランプの製造、販売
・現状−ファミコンなどのゲームソフトの開発、販売
・背景1)花札、トランプの衰退
   2)ゲームなどをして余暇を過ごす需要は拡大する
   3)余暇を楽しむ道具を提供する仕事を続ける
   4)コンピューターを使って、それをやる


2.ヤマト運輸

・創業−運送業、主にデパートの商品配送
・現状−宅急便ビジネス(ダイレクトメール、ゴルフ・スキー便・・・)
・背景1)運送業界(下請け業)の業績低迷(運賃値下げ、燃料の高騰、競争激化)で将来展望開けず

   2)多品目、少量、多頻度配送需要の拡大と新しい物流システム時代(商業貨物から個人宅配)の到来を予測
   3)「一般顧客へ商品を届ける」のは得意分野を活かす
   4)「翌日配送」のシステム、ネットワークとサービスを構築
−競争相手は郵便小包
−「サービス先、利益後」方針で、「翌日配送制度、セールス・ドライバー育成」に全力を注ぐ


3.コンビニ

   ・創業−あれば便利な小口販売の24時間営業ミニショップ
   ・現状−便利、簡単生活のために必要な小口日常商品販売
      −公共料金受け取り代行、銀行ATMの設置などネットビジネス
      −業務領域をはずし続けることによって、常に新しい分野を獲得している
(弁当、おでん、中継・取次ぎ・・・)

   ・背景−「便利を売る」を経営方針に顧客ニーズの変化を常に先取り
      −生活パターンの複雑化による消費者ねーズに対応
     −ワンストップ・ショッピング(豊富な品揃え)
     −ネットワーク・ビジネスの拡大(インターネット社会の到来)





Y]ビジネス領域拡大・再構築の考え方


1.生き残る、5つの方法

1)もっと頑張る(営業時間、値段、経費面)−市場の優勢な流れに乗る
2)競争をなくす(規制をしてもらう)
)競争相手を抹殺する(合併、吸収、提携)
4)撤退する
5)差別化する(他と違ったこと、競争相手の逆をゆく、発想を変える)

−消費者が欲しいモノにたどり着ける助けをする
−ムダに着目する
−情報、物流のチェーンの一角に食い込む
−専門化を進める(得意分野を更に伸ばす)


2.比較・競争優位の法則

−自分はどの分野で他と較べて優れているのか。自分は「A」という仕事が好きだが、その分野には自分よりスゴイやつがいる。「B」という仕事の分野では、そんなに競争が激しくない。よって、「B」に進めば成功する可能性が高い。
−自分にとって優位な「競争ルール(決め事、やり方)」に基づいて競争することが大切であるし、競争社会を生きる術でもある。
つまり、
・競争社会の中では、実力が発揮できる分野を探すことが必要
・新しい分野に出てゆくことは、自分の強みを捨てることではなく、むしろ自分の強みを活かすことである


3.鍵となる着目点(消費者にとっての2大制約)

1)所得制約−収入の範囲内で衣食住を賄わなければならないので、同じものなら安く買いたい

2)時間制約1日は24時間しかない。その中で仕事をし、レジャーを楽しみ、睡眠を取ったりしなければならない。忙しい人にとっては、お金より重要な場合がある

・CVSは短時間で必要な買い物を可能にし、ドトールは「15分の寛ぎ、おしゃべり」などを売っているともいえる。
・ハイパーヨーヨーについて、「このおもちゃは、5分でも10分でも暇があれば出来る」と子供達がいう
・「24時間」をどのように使うか、時間配分が益々重要になってくる

3)「モノからコト」への発想転換

・情報過多、欲望過多の時代、消費者は求めているものを効率よく満足させてくれる店、道具を探す。携帯電話は、「いつも友達、恋人と話していたい、いつも仲間としゃべっていたい」ということを可能にした
・「モノ」だけであれば、インターネットで家に居ながらにして買い物はできる。しかし、商品の持つ雰囲気を味わいながら、買い物を楽しむことは出来ない
・「楽しいコト、素敵なコト、快適なコト」を、消費者は24時間の中で出来るだけ多く経験したいと思っている
・音楽、スポーツ、旅行、カーライフなどを少ない時間で楽しませる「編集(ビデオ、DVD,CD)」などが人気があるのも、「制約と欲望」の組み合わせをビジネスにしたものである

4)取引を個性化させる

・SS、スーパー、CVS、デパートなどは、「非個人的」業態(お金優先で没個性)
・“Do you know me ?”(カードを使って買い物をすると、誰がそれを買っているかが分かる)
・情報化が進展するにつれて、「ワン・ツウ・ワン」マーケティングが進んでくる





[Z]販売員が心得ておくべきこと

1.顧客購買心理の8段階

  −警戒、注意、興味、連想、欲望、比較、決定、満足

2.販売員がお客様に提示すべきことFABE

  (Feature)  :商品、サービスの特徴
  (Advantage):商品、サービスの利点
  (Benefit)  :お客様にとっての利益
  (Evidence) :それらを証明する証拠


3.応酬話法

 1)ブーメラン法    :断りをそのまま答えにする「だからこそ、この商品は・・・」
 2)イエス、バット法  :「その通りです。しかし・・・・・・」
 3)黙殺法       :明るく、ユーモラスにハズしてゆく
 4)質問法       :「ところで、ご予算は・・・・・・」
 5)正面攻撃/否定法  :「とんでもございません。この商品は・・」
 6)例話法       :「実は、先日こんなお客様がいらっしゃいました」
 7)資料転換法     :「その点は、この資料にあります」


4.販売がガタガタになる3つの原因

 1)「買い手の選択力」が「売り手の推奨力」を上回りはじめる
 2)「これまでの販売を支えてきた」取引基盤が崩壊する
 3)その結果、これまでの「販売スキル」が通用しなくなる


5.お客さんの商品選択力

 −自分自身の経験、友達の経験(女性、子供)、TV・雑誌などの情報
 −お客は何かも知っている訳ではないが、関心を持っている商品については売り手より詳しい
 −お客は、自分の趣味、ライフスタイルにぴったりの商品を探している
 −お客は、店があるから来るのではなく、「人が来るから来る、人が来るところしか来ない」(集客の寡占化)





[]店頭「目安箱」

■背景

・お客様の批判やクレームは、お店・SSを成長させてくれる最高のアドバイスである
・人間は、自分に今何が足りないかということを知らないと、なかなか成長出来るものではない
・自分の欠点を知り、それを直し補おうと努力することによって、成長してゆく生き物である
・自分では「いい」と思っていても、他人から見たらよくないということもある。
・会社も、お店も、
SSもまた然りである
・だから、お客さんの声を聴いてみる必要がある


■超一流サービス向上活動(案)

   −セールスルームにお客様アンケート箱を設置する
   −セールスルームに、お客様アンケート用紙と投入箱を用意しておく

<お客様の声をお聞かせください>
  ・当店のサービスについて、お気づきの点をお知らせください。
    1)どんなところにご不満を感じられますか
    2)イマイチ物たりないところどこでしょうか
    3)その他
    ありがとうございました。ご意見・アドバイスの実現に努力してまいります。




                                     端山忠彦 実践SS研究会
                                 
 2007年7月度セミナーより