子供とあゆむ足跡から


第10集 子供にもらった元気の素

親と子供のつながりについて書いてみました(’98年7月作成)。


 
 平日の勤めを持ちながら、自治会やPTAなどの地域活動に参加しようとすると、どうしても仕事が休みである土日の週末に出かける用事が多くなります。特にサラリーマン世帯など比較的若い世代が中心であるこのニュータウンでは、皆の都合に合わすために、週末にしか打ち合わせや行事の予定が立てられません。こうなると、ただでさえ子供に接する時間がそれほど多くはない父親にとって、ますますその時間が削られることになってしまいます。時として平日は、子供の寝ているうちに出勤して、寝ついてから帰宅するような生活をしいられているサラリーマンには、子供と話をするのは週末だけと言う場合もあります。その接する時間が減った分の子供の相手は、母親に少し協力しておぎなってもらったとしても、子供の側にとっては減点パパなのかなとちょっと心配していたときがありました。

 小さい頃の子供の心は、親の態度や関心によってかなり左右されるように思われます。たとえそばにいても、親の関心が自分たち以外のことに向いていると感じると、わざとぐずってみたり、べたべたと甘えてみたりして、親の関心を引こうとします。すこし長い期間にわたって親が別のことにかかりっきりになっていたりすると、おなかが痛くなってみたり、頭がおもくなってみたりと体の不調を訴えるようになることもあります。あわてて病院に連れていって見てもどこも悪くなくて、始めて精神的なものだったと気がつくことになります。それでもまだ、外からすぐわかるサインを出していればいいのですが、ストレスとして自分の中にため込んでしまうと、ある日突然登校拒否なんていう心配もあります。

 けれども、子供とはいえ小学生にもなるとそれなりに考える力が生まれてくるようです。ぼんやりとではあっても、親が行っていることの大切さが理解できるようになるのかもしれません。最初の頃は、「どこいくの〜」と言っていた子供たちも、最近は週末に用事で出かけることになると、ときどき「お仕事がんばってね」と言うようになりました。幸いにしてすぐそばの地域での活動が中心ですので、そんな最中に子供と顔を合わせることもたびたびあります。そのときは、うれしそうな顔で手を振ってくれます。そんな子供の様子に、親としても元気づけられ、次への勇気をもらってきました。一昔前は、親の背中を見て子供は育つと言ったようですが、子供の見えるところでの活動が出来ることは、親にとっても子供にとっても、大変に良いことなのだと思います。そんな機会を、少しでも多くの方々に持ってもらえたらと思います。

 私がPTA会長であった期間に、下の子は入学式を迎えました。あいさつをしている壇上からわが子の姿を見るという貴重な経験をさせてもらいましたが、子供の側はどう受け止めていたのでしょうか。もう少し大きくなったら、どんな印象をもっていたのか確かめて見たいと思っていますが、その後も学校で顔を合わすことが多くありましたから、入学式のときのことは忘れてしまっているかもしれません。もしそうであったなら、親の活動を自然なこととして受け入れてくれてたことになるのでしょうか。

 


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