子供とあゆむ足跡から


第12集 周年行事考

学校の誕生日の行事について考えてみました(’98年12月作成)。


【学校の誕生日とは】

 私たちに誕生日があるのと同じように、学校にも創立記念日と呼ばれる誕生日が設けられています。むかしは、学校をさぼって平日に遊んでいるいいわけとして利用されたりしましたが、最近ははじめから融通を利かせて、連休につなげて設けたりしているようです。

 学校の誕生日を毎年あらたまって祝う事はありませんが、何十年という区切りになるような年には、いろいろな行事がおこなわれています。一般には周年行事と呼ばれるもので、5周年、10周年、20周年、50周年、100周年といくつかの節目が考えられます。後の年になるほど関係者の数が増えていきますので、大がかりな行事となりがちです。

 ここ数年は、戦後になって一斉に新設された中学校がちょうど50年を迎えるため、あちこちの中学校で50周年記念行事が行われています。さらに、明治生まれの小学校では、100周年を祝った学校もあります。都筑区内では、中川小学校と都田小学校がすでに100才を越えています。

 10年を越えるような周年行事になると、子供たちはもちろん、その時学校にいる先生も、創立当時のことを知っている人はほとんどいなくなってしまいます。周辺の地域にはもちろんその当時から住んでいて、代々子供たちが通っているという方もおられるでしょう。でも、そのような方は少数です。

 そうなると、周年行事は何周年という冠で重さが決まる、イベントという意味あいが強くなってきます。そして、その負担はPTAにもかかってくることは容易に想像がつきます。それは、費用の面も含めてです。当然のことながら、学校側には周年行事のための特別な予算はありません。数年前から必要な費用の積み立てを行ったり、卒業家庭の寄付を募ったりしてその出費に備えることになります。内容にもよりますが、一般に百万単位のお金がいることになります。
 


【行事のもつ意味について】

 周年行事の内容もいくつかありますが、記念誌の発行、各個人への記念品の配布、学校への記念品の贈呈、記念式典や祝賀会の開催などが一般的な内容でしょうか。その時に在校している子供たち向けというよりも、地域や歴代の関係者などの大人向けの行事という傾向になりがちです。

 同じ区内でも、毎年1〜2校で周年行事が行われ、PTA会長や校長先生が招待されて式典に出席しています。学校の歴史に対して敬意を表するという意味で、それ自体は大切なことです。でも、学校の中で行われる行事でもあり、せっかくその年度のPTAの労をわずらわすのですから、行事の内容としては、もっと子供たちためになること、あるいは楽しめることの方が良いのでは、と感じることが多くありました。

 そんな中にも、活躍中のスポーツ選手を招いての子供向けの講演会や、子供たちもいっしょのもぎ店やゲーム大会などの企画に参加したことがありました。そんな時の子供たちの輝いている目と、見知らぬおじさんのとおりいっぺんの祝辞を聞いているときの眠ったような目とを比べて見ていると、なにが本当に必要なことなのかを改めて考えさせられます。

 学校では、大人ではなく子供たちが主役です。周年行事も、そのことをあらためて確認できるような行事であってほしいなと思っています。

 


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