子供とあゆむ足跡から
小学校の子供たちのお誕生日会について考えてみました(’99年2月作成)。
【大切なお誕生日会】
小学校低学年の娘が、ルンルンしながらうれしそうに学校から帰ってきました。お誕生日会への招待状をもらってきたのです。その日は、母親の手を引っぱって、いそいそと買い物に出かけていきました。プレゼントを用意するためです。女の子の場合は、かわいらしい文房具やキャラクター、ブランドもののハンカチなどが多いようです。子供が一番喜ぶのは遊ぶためのおもちゃやゲームのカセットでしょうが、お金を出す親の意向が反映されるためか、贈られるのは文房具や日用品が多いようです。
仲のよい友達のうちへ遊びに行ったり、自分のうちに遊びに来たりということは、普段でも良くありますが、お誕生日会はそれらの日常とは違った重要なイベントです。自分とまわりとの人間関係を、おぼろげながら意識するようになるこの年頃の子供にとって、友達関係を確認するための数少ない機会とも思われます。呼ぶ側の子供にとっては、一年で一回、自分が主役となれる貴重な機会ですし、だれを呼ぶかはそれ以降の友達関係を続けるための大切な選択肢となります。学年のはじめの頃で、クラスのなかよし関係がはっきりしなかったため、仕方なく女の子全員(約15名)を呼んだというお宅がありました。さすがに、お母さん一人では面倒みきれず、近所のお母さんが手伝いに行ったそうです。
このような誕生日会は、私が小学生のころから行われていました。でも、そんなにまで無理をして行うことはなかった、という親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、がき大将を中心に、子供どうしの関係がはっきりとしていた当時に比べて、子供社会のできにくい今の学校では、友達関係を確認することができる機会はそれほど多くありません。親にとっても準備やかたずけなども含め、けっこう大変な負担なのですが、出来るだけ応援してあげたいと思っています。
【内容とその意味について】
低学年の子供が、自分でイベントの中身を考え、当日も取り仕切っていくのはなかなか難しいようです。リーダー的な友達も少ない昨今では、母親が主な内容を考え、当日の司会役もこなすことになります。我が家の場合、高学年の兄が妹の誕生日会を仕切っていたこともありました。
なにをやるのかも、結構悩ましいことです。適当な飲み物や食べ物を用意して、ケーキカットを行うところまでは定番でしょうか。そのあと、用意してあったプレゼントのお返し(そう、最近はその場でお返しがあるのです)を配るために、ビンゴゲームで勝った人から順番に袋を選ぶ、というのもよく行われるようです。その後は、テレビゲームのトーナメント対戦や、トランプ類などのゲーム大会でしょうか。女の子の場合は、みんなで集まってわいわいと遊ぶようですが、男の子の場合、一通りの定番出し物が終わってしまうと、三々五々集まってゲームをしたり、一人でまんが本を読んでいたりで、バラバラのこともあるようです。そんな時は、戸外に遊びに追い出してしまうのも、一つの手かもしれません。
でも、今の子供たち、テレビゲームでもないとなかなか時間が持たないんですね。何かを与えられるということに、慣れすぎてしまい、自分で考えて行うという部分がますます少なくなっているのです。それが、ちょっとした人間関係のトラブルでもつまづいてしまう理由の一つでしょうか。 それでは、準備だけして、後は勝手にどうぞと放り出してしまうのも、ちょっと無理な感じがあります。適当に手助けをしながら、自主性を育てていく。言うのは簡単ですが、現実にはなかなか難しいものです。
そんな中で、妹の誕生日会を仕切っている息子の様子を聞くと、それなりに成長をしてくれたのかなとちょっぴりうれしくなります。PTAなどでがんばっている親の背中を、少しは見ていてくれたのかもしれません。
誕生日の風景から、そんな子供たち今の様子がかいま見えた気がします。