子供とあゆむ足跡から
子供たちとテレビのつきあいについて考えてみました(’99年9月作成)。
私が小さいころは、テレビ番組もそれほど多くはなく、中高生ではもっぱらラジオの放送を聴いていた程度でした。でも、今ではほとんど一日中放送がおこなわれ、衛星放送やケーブルテレビも加えると、常に何らかの子供が見られるような番組が放送されています。子供たちは、ほっておくと、一日中テレビに張り付いていたりします。
遊びの一つと割り切ってしまえば、ある程度はしょうがないのかもしれません。それでも、テレビの影響力はけっこう大きく、コマーシャルの表現や、芸能人の言葉ばかりをまねするようになると、ちょっと心配になったりします。
テレビのいいところは、普段はなかなか見聞きする事が出来ないこと、世の中で今起こっている出来事がわかる点、また、スポーツ中継やコンサート、映画などエンターテイメントとしての魅力も伝えてくれる点など数多くあります。まあ、最近増えてきた、私生活ののぞき見趣味や、いじわるなバライティーはいただけませんが、そんな一部の不毛な番組を除けば、それぞれの番組はそれなりに見て意味があるように思えます。
でも、テレビというメディアは、番組を作っているテレビ局側の一方的な情報発信であって、見る側が対話をするとか、立ち止まって考えてみるということができません。これが、新聞とか本であれば、見る側の都合で読む速度を加減することができ、途中で立ち止まることもできます。情報の量や質では、テレビの方が圧倒的に多いわけですが、記憶に残るものは限りがありますので、1つの番組を見た後と、一冊の本を読んだ後のこころに残るものは、それほど大きな差がないようにも思えます。
赤ちゃんのころから、テレビに子守をまかせてしまうと、返事に応えるという習慣が無くなってしまうという話も聞いたことがあります。生身の人間が向き合わなければ、会話をする必要は無くなってしまうのでしょう。
テレビとはどんなものかを理解して、上手につきあうことが求められていることになります。
その一つの方法として、家族など何人かで話をしながら見るというのはいかがでしょう。はじめは、スポーツ中継の応援でもいいですから、子供といっしょに誰それはうまいの下手だの話をしながら見るわけです。子供も、一人で漫然と画面を見ているのに比べ、はるかに生き生きとした表情を見せてくれます。さらに、クイズ番組や推理ドラマで答えや犯人の当てっこをしてみたり、話のたねはいくらでも広がっていきます。こどもがどんなことを考えているのか、どんなことに興味を持っているのかも知ることができます。
いつまでテレビばっかり見てるのよ、としかるより、いっしょにテレビでも見ないか、と誘ってみてはいかがでしょうか。