子供とあゆむ足跡から
PTAの活動を始めた頃のようすを書いてみました(’98年2月作成)。
【仕事と両立ができない】
PTA発足直後の学校内での行事、委員会を並べてみると、4/5(水)入学式、4/11(火)校外委員会、4/15(土)運営委員会、4/18(火)学年学級委員会、4/24(月)学校保健委員会、4/27(木)推薦委員顔合わせとなっています。ご覧になればわかるように、大部分は平日に行われています。さらに会合以外にも、配布用印刷物の作成、アンケートの集計、連絡網の作成など、学校へ足を運ばなければならない用事が、数多くありました。
PTAのかかわってみて、いちばん私が困ったこと、それがこの平日昼間の活動のあまりの多さでした。学校で行われる各種委員会は、当然委員や先生の都合から平日となります。さらに、懇談会や授業参観ばかりでなく入学式や卒業式などの学校行事も、ほとんどが平日に行われます。唯一休日に行われる行事は、運動会だけでした。学校内部だけでなく、外部から要請される各種講演会や委員会、PTA研修会などへの参加要請もほとんどが平日のものです。
残念ながら、普通の会社勤めの私では、とてもすべてに出席できず、かなりの部分を他の役員さんに支えてもらうこととなりました。それでも、その年の有給休暇の大部分は、PTAのために消化することとなりました。幸い(?)、私の場合はバリバリの会社人間ではなかったため、何とかやりくりをして都合をつけられましたが、長期間にわたっては、とても仕事と両立させることは出来ない、というのが現実でした。
最近では、父親ばかりでなく、フルタイムの仕事を持つ母親も多くなり、役員や委員を引き受けられる人がますます減っています。いずれ、今のようなPTA活動は人手不足で難しくなるように思えます。”子どもの登校時間=PTA活動の時間”という枠組みの中では、そろそろ限界ではないかというのが正直な感想です。
【討論でしょうか雑談でしょうか】
PTAの役員や委員は毎年入れ変わりがあり、年度はじめには,経験があまりなく互いの顔も良く知らない人たちが、委員の多数を占めることになります。このような状況ですと、委員会での議論はなかなか成立せずに、連絡事項の伝達か、雑談的なやりとりに終始することが多くなってきます。委員間の風通しを良くするためには、雑談的なコミュニケーション時間を多くすることも有効です。でも、なにかを決めようとするときには、これではこまります。議論の時間とコニュニケーションの時間をうまく使い分けることは、なかなか難しいことでした。そして、委員さん方にぜひ学んでほしいと思ったことの1つが、この議論のやり方でした。
・テーマにそってあらかじめ考えをまとめてくる
・わかりやすく話をする
・意見があればその場で述べる(決まった後になって言わない)
私たちの普段の生活の中では、議論をしてものごとを決めるような機会は、それほど多くありません。PTAがはじめて経験する議論の場、という人も少なくないと思います。そう、保護者にとっても学校は、新しいことを学ぶことの出来る場なのです。
ちなみに、男のつきあいでは夜のノミニケーションが効果的ですが、母親同士のつきあいでは、ランチタイムのシャベリケーションが効果的であることを、このころに教わりました。まあ、近ごろはノミニケーションでOKという女性も増えてきたようですが。
【PTA組織への参加について】
初年度の運営委員会でまず決めなければいけなかったことは、関係団体への参加の有無でした。
PTAは任意組織ですが、全国的な組織として日本PTA全国協議会が設けられています。その下には、県単位あるいは市単位の組織があり、ここでは横浜市PTA連絡協議会という組織になります。さらに横浜市では、区ごと市立の小中学校が集まった連絡組織があり、この地区は都筑区PTA連絡協議会となります。それぞれが略称として、日P(にっぴ)、市P連(しぴーれん)、区P連(くぴーれん)とよび、さらに個々のPTAを単P(たんぴー;単位PTAの略)と呼んでいます。最初の頃は、このような表現が分からずに、話がちんぷんかんぷんだったこともあります。日Pは市P連の上部団体ですが、市P連と区P連は単Pが会員となっています。
近隣の小中PTAとの連携や情報交換のために、区P連に参加することは特に異論はありませんでしたが、市P連への参加すべきかどうかは、議論がありました。まだまだ、設立したばかりで自分たちの活動も始まっていないのに、市P連に参加することで負荷ばかりが増えてしまうのではないか、という懸念がありました。でも、実質的に区P連に参加しながら、市P連に参加しないことは難しかったため、結局、初年度から両方とも参加することになりました。ただし、払うべきお金が無かったので、一括して年度頭に納めるべき会費は、半分を繰り延べてもらいましたが。
実際に参加してみて、同じような環境にある区P連での交流は、いろいろと得るものがありましたが、市P連や日Pがどれほど単Pの役に立っているかは、なかなか実感が出来ませんでした。ピンクチラシの追放など、個々の活動だけではなかなか効果が得られないものを、組織立てて広範囲で行うことで有効なものとする。この理屈は頭では理解できますが、1年単位で人が入れ替わる組織で、そのような理解を継続することはなかなか難しいことのようです。
そんなこんなの決めごとを考えているうちに、1学期は実質的な活動に入る前にあっと言う間に終わってしまいました。
【変質者とのたたかい】
2学期に入って、運動会を控えた9月の中頃のことでした。学校より連絡があり、通学路付近で変質者が出たとのことでした。これが、それ以降延々と対策に頭を悩ますことになる変質者問題の始まりでした。ニュータウン地区には、住居に隣接して豊富な緑が残されており、当然通学路にも緑道や公園が含まれています。ただ、このような場所は平日昼間の人通りが少ないので、なかなかまわりの目の届きにくい所となっています。
自治会でも毎年変質者の出没情報があり、回覧などで注意を促していましたが、身近に親がいることもあり、具体的な対応は各家庭に任されていました。しかし、学校の場合は保護者がそばにいませんので、子ども任せというわけにはいきません。あわてて、注意書きの掲示板を通学路の何カ所かに設置しましたが、あまり効果は期待できません。警察も、発生した犯罪の対応に手一杯で、とても予防パトロールを充実する余裕はありません。しかたなく、下校の時間帯に保護者でパトロールをということになりした。
実は、区内のかなりの数の小学校で、このようなパトロールを実施しています。犯罪者の移動も車やバイクが普通になり、すこし離れた地域で発生した犯罪も、すぐ広範囲に広がってしまう危険があるからです。
パトロールも短期間であれば、有志を募ってということで済みますが、ある程度の長い期間をカバーしようとすると、そうはいかずに、地区単位でローテーションを組んでということになります。でも、昼過ぎから夕方の時間帯ですから、フルタイムにしろパートタイムにしろ仕事を持っている人には、なかなか出てくるのが大変な時間です。皆の理解を得ながら活動を進めるために、なるべく多くの情報を保護者に知らせることが必要となります。 でも、ここで困った問題がありました。それは、例えば学区内のどこどこで、どんな状況で被害があった、という情報を詳しく伝えると、だれが被害にあったのかという詮索がなされ、うわさが広まってしまうことの懸念でした。情報とうわさの扱いのむずかしさも、PTAで経験したことの一つでした。
(その3へつづく)