子供とあゆむ足跡から


第8集 せっかく作った地域組織だけれど

組織を維持することの難しさを考えてみました(’98年4月作成)。


【桜の季節は悩み深く】

 春と言えば、涙の卒業式や桜の下での入学式というのが、季節の風物詩になっています。年の替わり目以上に、3月から4月にかけての年度の切り替わりが、日本では大きな節目になっているようです。学校ばかりでなく、いろいろな組織において年度替わりがおこなわれますが、そのなかには、町内会や自治会、さらにPTAなどの地域の組織も含まれています。実はこの年度替わりが、なかなか難しいものなのです。

 ここはニュータウンですから、道路も建物も公園も、そして公園の中に整然と手入れされた緑も、ほとんどが最近になって形づくられたものです。そして、街の環境が整ってくるに連れて多くの人が移り住み、新しい町内会などの地域組織が形づくられてきました。これらは基本的にボランティア組織ですから、共通の目的があって、それに賛同する人たちによってつくられます。新しい組織を軌道に乗せるのは大変なことですが、目的がはっきりしていて賛同者が得られれば、それなりに分担協力してものごとを進めることができます。

でも、いくつかの組織運営にかかわってみて強く感じることは、本当に難しいのは、作った組織をどのように維持運営していくかということです。

 たいていの組織には規約があり、年度ごとに委員や役員などの世話役を再度選出するように決められています。この世話役選びが、なかなかすんなりとはいかないのです。地域組織とは言っても任意加入が前提の団体であるので、強制力を持たすことはできません。仮に順番に回すように決めておいても、当番に当たった人が、では抜けますといえばそれまでです。もしも、引受ける人がだれも出なければ、それでおしまいということになりかねません。
 

【なくなるのは困るのだが...】

 町内会などの地域組織の必要性は、皆認めるところです。近くに住む人たちの親睦のため、いざ災害という場合にみなで備えるため、行政との窓口、PTAなら学校とのパイプ役、などなど。でも、自分でその世話役を引受けるとなると、やはり負担に感じてしまう。これも、正直なところでしょうか。協力的な人であっても、時間の制約があると、とても何期も続けられないこともままあります。

 もともと、年度ごとに世話役を選び直すのは、負担をなるべく多くの人で分けあっていこうとの考えに基づくものでしょう。でも、住んでいる人たちの地域共同体としての意識があまり高いとは言えない現状では、すんなりと世話役の交代が出来なくなってきています。これは、地域のコミュニティーをどのように形成していくべきか、という話にもつながるものです。

 どうすればいいのか、私にも妙案はありません。結局は、個人的な知り合い関係の輪を広げ、地道に地域活動への理解を求めていくことのほかには、解決策はないかもしれません。でも、そう言ってしまっては、みもふたもありませんから、いくつかの方法を考えてみました。
 

【世話役の負担を減らすためには】

1、会議や打ちあわせを減らす

 時間を取られるものの一つが、みんなが集まっての打ちあわせです。議論やコミュニケーションを行う場としては全部を無くすのは難しいでしょうが、事務的な連絡などは必ずしも皆が集まることはありません。FAXや電話連絡の活用が考えられます。さらに、電子メールやパソコン通信などの環境を整備すれば、ある程度の議論を行うことも可能となります。ご近所とはいえ通信ネットワークを有効に活用することが、時間を有効に生かすための道具になりそうです。
 

2、行事や活動の運営を分担する

 一年間通しての活動は難しいけれど、短い期間なら手伝いが出来る、あるいは、こういう活動を行うなら毎年でも手伝いたい、という人は、結構いるものです。そのような人たちに参加してもらうため、個々の行事や活動をそれぞれ協力できる人たちで、分担して運営してもらうことが考えられます。役員は日程調整などを行うだけで、企画運営をまかせることが出来れば、かなりの負担が軽減されます。また、協力が得られない活動は必要性がないものとみなし、見直すことも時には必要でしょうか。
 

3、事務的な作業は有償で委託する

 協力がないものは行わないとはいっても、組織運営に必要な最低限のことは続ける必要があります。例えば、回覧物の印刷配布、会議場所の確保、会計処理、名簿などの事務書類の作成などです。これらは、行事などとは異なり縁の下を支える活動ですので、なかなか引受け手が得られないものです。このような事務的な活動は、セミボランティア的なものと考え、いくらかの金銭的な補助を行うことが有効と思われます。役員などに、一定額の通信費を支払う規定を設けている団体も多いと思いますが、その考えをさらに進めて活動補助とするわけです。
 

 以上の方法は、いずれも役員や委員などの世話役の負担を少しでも減らして、多くの人が役を引受けやすくするためのものです。でも、地域活動そのものに関心を持ってもらえなければ、どんな方法を取り入れても、いずれは活動が停滞してしまうでしょう。いかに皆にとって魅力ある活動であるかが、やはり問題となります。
 

【時代に合わせた新しいかたちとは】

 地域活動に対する一つのヒントとして、ニュータウンの中には、趣味やスポーツのサークル、または介護ボランティアや子育てグループ、さらには緑の保存会などの、多くの自主的な活動が活発に行われていることがあげられます。明確な目的意識が得られる活動と、いくばくかの義務感を抱いての活動との差が、違いを生んでいるのようです。そういった意味では、従来の区域内の住民だけを対象としていた、地域組織そのもののあり方を、変える必要があるのかもしれません。

 皆さんは、今の時代にあった地域組織や活動を、どう考えられるでしょうか。ちょうど今がその転換点にあるようにも思われます。

 


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