つれづれなるままに


第8題 終わりよければすべてよし

山国の小国にも文化の波は押し寄せているか(2002年9月作成)。


 ★旅慣れにご注意

 今年は、現地滞在が数日という海外出張が続いており、夏のバカンスシーズンが終わった9月頭に、またまたのスイス・リヒテンシュタイン出張となった。

 行きの出発便は、朝10:30発であった。 ある程度余裕をもって家を出たつもりだったが、今回は箱崎でチェックインが出来るという安心感もあって、結局、成田空港にバスで到着したのは、出発時間の40分前になっていた。 手荷物検査の行列に並んだのと、スイスフランへの両替をしただけで、もう、搭乗時間となってしまった。 現地用の電源コンセントへの変換アダプタを、成田で探すつもりだったが、時間切れである。

 幸いにして、飛行機への搭乗口が、遠いターミナルではなく、出国審査を出たすぐのフロアだったので、さほどあせるほどのことはなかったが、気をつけないと、ターミナル内を係員と一緒にランニングという、いだだけない状況になるところだった。

 反省。

 
 ★小国をあなどるなかれ

 今回の目的地は、スイス経由でリヒテンシュタインである。 2年前にも訪れており、スイスのチューリッヒ空港から迷うことなく鉄道を乗り継いで、入口となるサーガンスの駅に到着した。 前回は、地理不案内だったので、駅からホテルまでの移動はタクシー頼りだったが、今回は路線バスを使ってリヒテンシュタインのホテルまで移動することにした。

 前の扉からバスに乗車し、運転手に行き先を告げてチケットを買う。 2.4フランというから、200円程度である。 まあ、日本と同じくらいかと思った。 しかし、ほとんどの乗客はチケットを買わずに、後ろの扉からそのまま乗り込んでいる。 あとで聞いたら、年間フリーパスで80フランというから、非常に経済的な価格である。 地元の利用者は、ほとんどそれを利用しているようだ。 ポストバスと呼ばれ、郵便と同じ事業運営のようなので、国から費用が出ているのだろう。

 この路線バスでもう一つ関心したことは、ローデッキである上に、バス停でドアを開ける時に、車体を歩道側に傾けて、さらにステップの段差を少なくする仕掛けがあることだ。 10cm以上、歩道側の車体が沈み込むように見えた。 日本でも同じようなバスが一部で運行しているらしいが、リヒテンシュタイン国内のすべての路線バスが、同じ構造を備えているというのは、立派なものである。 ちなみに、スイス国内を走る路線バスには、ついぞ、そのような車両を見かけることはなかった。

 
 ★IT分野においてもしかり

 さて、前回の出張時に苦労したことの一つが、ホテルの部屋の電話線のつなぎが特別で、メール通信のためのモデムが、なかなか繋がらなかったことであった。 今回は、同じ事態に備えて色々な道具立を用意していった。

 しかし、この2年の間にしっかりと進歩しており、ホテルの電話機は、すべてモデム接続用のモジュラージャックの口を備えたものに変わっていた。 別のホテルを利用した人も、同じことを言っていたので、アルプスの山奥の小国でありながら、しっかりIT時代の波に乗っているのである。

 そうそう、ITといえば、人里は離れた山奥でも、かなり携帯電話が繋がることにも驚かされた。 どうも、あちこちの山の上にアンテナを設置しているようだ。採算を考えると、これもなかなかのものである。

 
 ★日本食もワールドワイド

 ここのでの食事に関しては、これといった名物はないようだ。 牧場があちこちにあるので、当然、肉類がメニューの中心で、生ハムやカツレツのようなものが、よく出てきた。

 ただ、料理全般の味付けは、概して塩気がきいていてしょっぱい。 酒のさかなとしてはいいのかもしれないが、ちょっと普段の食事としてはいただけない。 やっぱり、山国で、保存食が食材の中心だったころのなごりなんだろうか。

 驚いたことは、なんと、2年前にはなかった寿司屋が出来ていたことだ。 現地の人が、気をきかせて、仕事の合間の昼食にと、この握り寿司を取り寄せてくれたが、これがまた、しごくまともな日本風の味なのだ。 マグロ、えび、サーモン等々、ネタも、日本ではポピュラーなものばかりであった。 食材は、陸続きのイタリアあたりから、取り寄せているんだろうか。

 海外で食べる寿司は、現地風にアレンジされていたり、シャリに、いまひとつねばりけが無かったりで、期待した味とかけはなれていることも多い。 しかし、今回食べた寿司は、ぜんぜん違和感がなかった。

 聞くところでは、首都のファデューツにあるこの店舗は、地元の人たちで結構繁盛しているらしい。 塩味が好きな人たちに、なんでわさび味が受け入れられているのか、なんとも不思議な気がする。

 
 ★一番大切なもの・・・かな

 さて、出張の最後の仕事は、おみやげ選びである。

 子供たちへは、土産物屋でカウベルのミニチュアや、刺繍のハンカチ、木工細工など、それなりの物をそろえることができる。 仕事仲間へは、どこへ行っても、お決まりのチョコレートでOK。

 そして、いつも頭を悩ますのは、マイワイフへの一品である。

 当然、チューリッヒ市内の表通りには、ブランドもののブティックがたくさん並んでいるし、スイスの高級ウォッチの店も多い。 空港のデューティーフリーショップでも、ブランド物はそれなりの品ぞろえがある。 いざとなれば、帰りの機内の免税品販売で、手に入れることもできる。

 しかし、このブランド品のたぐいは、なかなか選ぶのが難しい。 当然、値段に質がほぼ比例しているので、それなりの金額を出せば、はずれということは少ない。 でも、毎度の出張のたびにそれでは、出張貧乏がますます増幅されてしまう。 まあまあの値段で、そこそこ満足してもらえるようなものを探すのが、一仕事なのである。

 そこで、今回、目をつけたのは、リヒテンシュタインに本社があるという、スワロフスキークリスタル。 宝石ほど高価ではないが、そこそこ見栄えのいいアクセサリーを作っている。 最近では、ビーズ細工の材料として、国内でもあちこちで、スワロフスキー製のクリスタルビーズが売られているので、知名度も上がっている。

 あちこちの店を見て回り、クリスタルビーズを2列にアレンジしたブレスレットを購入した。 値段は、まあ、みなさんのご想像におまかせしよう。

 ということで、今回も現地滞在が正味2日ほどという、慌ただしい日程を無事終えることが出来た。

 めでたし、めでたし。

  


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