ニュータウンあれこれ


第9話 地域活動のトラブルシューティング

  ボランティア的な活動が主の地域活動ですが、人が集まる組織となれば、大小それなりのトラブルは避けられないものがあります。しかし、トラブルが起こることを極端に避けてばかりいると、何も活動は出来なくなってしまいます。
 何も無いことが望ましいのですが、あった場合への事前の備えとして、また起こった後の対応について、いくつか考えられることを記してみました。皆さんの活動の参考になれば幸いです。(’99年4月作成)


【事故への備えは保険から】

(1)自治会保険など損害保証のある保険を掛ける
(2)事故は活動参加者の自己責任であることを周知する
(3)危険がともなう作業は、お金を払ってでも業者に依頼する

 一番起こって欲しくないトラブルは、活動中の傷害事故です。基本的には自主活動においては、参加者の自己責任が原則ですが、子供を対象とする行事ではそう単純ではないケースも出てきます。
 まずは、すべての活動において損害保険をかけることをお勧めします。いくつかの海上火災保険会社から、「自治会保険」というような名称で、年間の組織活動全体に対して掛けることのできる保険が売り出されております。自治会が主催する行事やその準備で発生した事故に対して、保証を受けることができます。また、スポーツ大会やバス旅行など、個々の活動に掛けることのできる一時的な保険もあるようです。費用は保証内容にもよりますが、自治会保険で年間10万円程度です。

 行事への参加者募集の際に、けがなどは自己責任で予防してもらえるように注意書きを加えておくことも、責任のありかをはっきりさせておくためには、必要なことでしょうか。放課後に行われる学校の行事では、あらかじめ保護者の承諾書を提出させることも、多いようですが、そこまでする必要があるかどうかは状況にもよると思います。

 活動において危険が伴うような作業、例えば盆踊りのやぐら作りや、電気ケーブルの配線のような作業は、多少お金がかかっても業者に依頼してしまうことです。これは、安全確保のためばかりでなく、準備の労力の節約のもつながります。予算面で業者委託が難しいのであれば、無理して背伸びをせずに安全に出来る範囲の内容にとどめておくことも、時には必要となる判断でしょう。


【活動方針や内容に関する意見のくいちがい】

(1)皆が参加する会議の場で方針をはっきりさせる
(2)会議以外の場で文句は言わないようにする
(3)会議内容を記録し、必要なら一般にも広報する

 地域活動では、参加する人の年齢層や生活環境などは、かなりの開きがあることも多いでしょう。当然、同じ物事についても様々な考え方や意見が出てきます。しかし、一般社会のように、決めごとに関して細かなルールがあるわけではなく、組織の大まかなガイドラインを示す規約があるだけなのが普通です。従って、ルールに照らし合わせて単純に良い悪いの比較が出来ない場合がほんどです。話が変にこじれてしまうと、あの人が好きとか嫌いとかいう感情論にまで発展することもあります。

 まず大切なことは、会議の場において方針をはっきり決めることです。どんな組織でも、月1回程度の運営の為の会議が開かれているでしょうから、この会議の場で皆さんの意見を確認し、方針を決めます。もし、細かいことまでその場ではっきり決められない場合は、誰にその判断を任せるのかを決めておきます。活動の元になる案は少数の人で作るにしても、決定はなるべく多くの人のいる場が望まれます。

 会議が終わった後になって文句を言う例がよく見られますが、意見を述べるのは会議の場においてであることを、年度の初めに参加者皆ではっきりと確認しておくことも、必要なことかもしれません。もちろん、一度決めた方針が絶対ではありませんので、状況が変わったら、再度会議の場において見直しをすればいいわけです。

 重要なことは、その場で白板に書くなどして内容を確認し、記録にとっておけば後の参考にもなります。さらに、どのような話し合いが行われたか、会議に参加している役員や委員以外に知らせることも、活動への周囲の理解を得るために有効なことです。


【一般からのクレームに対して】

(1)個人ではなくなるべく多くの人数で対応する
(2)質問や回答内容を一般にも広報する

 活動に直接関わっている代表役員、委員以外からも、電話や文章などいろいろな形でクレームが寄せられることがあります。簡単な質問事項であれば、その場で受け答えをすることも可能でしょう。しかし、その答えが特定の個人を批判するように解釈されても困りますので、個人で対応するよりなるべく多くの人数で対応するほうが賢明です。

 組織全体の活動に関わる内容であれば、会議の場で回答を協議して、委員会名で回答文書を発行するようにします。同時に、一般にも回答内容を広報することも必要ならば行います。建設的な提案であれば、前向きに検討もできますが、単なる批判に過ぎない場合は、どのような替わりの提案があるのか、どんな形で活動に協力してもらえるのかなど、逆に質問状を発行することも考えられます。いずれにしても、組織全体で対応をしていることをはっきりとさせておきます。


 隣近所の仲間組織の中で、杓子定規な対応をすることに抵抗感もあるかと思いますが、無用なトラブルをさけるための保険と考えれば良いのではないでしょうか。だれしもトラブルが起こることを望んではいないでしょうが、善意の解釈が必ずしも良い結果につながらないケースもままあることです。
 具体的な活動を進めるに当たっては、個人的なリーダーシップが大切となることもありますが、ことトラブルシューティングに関しては、出来るだけ衆知を集めておくことが基本かと思われます。


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