第1章 旅立ち
September 7, 2006
仕事をなんとかかたずけ、東京駅へ急ぐ。 18:33発の成田エクスプレスに乗り込む。 海外へ出かける人がこの電車に乗り込む姿を何度か見ていた。 だから、これに乗れば海外に行くというワクワク感が出てくるのかと思ってたが、 ぜーんぜんそんなことはなかった。
19:33に成田空港に着く。 地下のホームから出発カウンターのある4階まで、 エスカレータを上がる。 俺の前後には、スーツケースを引きずった旅行者が並ぶ。 以外にひとり者が多いんだ。 一人で荷物を引きずる女性も何人かいた。
平日夜の成田空港第1ターミナルは閑散としていた。 時間的にどこかへ出かける頃合いではないようだ。 空港内の多くの店はシャッターを降ろす準備をしていた。 宅急便で荷物を空港に届けていたので、 その預かり所へ直行する。
旅に出るときは、デイパックひとつで出かけることが多い。 どちらかと言えばバックパッカーの俺にとって、 スーツケースというのは、ちょっと慣れないスタイルだ。 だけど、セキュリティーとかを考えると今回はやむを得ない。
そのスーツケースを預けチェックインを済ませる。 両替をして、ユーロを手にした。 ユーロ紙幣は、なんだかオモチャみたいだ。 金銭感覚が一気にわからなくなった。
人から借りた馴染みのない、特徴もわからないスーツケースを、 目印を何もつけないまま預けてしまったことに気付いた。 バルセロナの空港で、わかるのか。 まぁ、後からいろいろ考えるな。順調にいかないことも旅の醍醐味だ。
セキュリティチェックの入り口にある表示を撮った。 そこを通り、パスポートコントロールで出国審査の印を押してもらう。 法律的には、もうここは日本ではない。
搭乗口となる17番ゲートあたりまで来ると、 同じ便に乗る乗客がロビーでその時間を待っていた。 成田エクスプレスで乗り合わせた客も何人かいた。
欧州への便ということもあり、 そこには欧州系の白人、黒人、 そして日本人が半々の割合で搭乗時刻を待っていた。
この異国人の多い雰囲気に、初めて海外へ行くという実感が湧いてきた。 もうこの空間は日本の雰囲気じゃない。 ゲートのところでチケットとパスポートを見せ、 いよいよ飛行機へ乗り込んだ。 ホントに海外に行くぜー! 中学生のころ、初めて友達同士で旅をしたときのようにワクワクしていた。
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