第6章 聖地カンプノウ

September 8, 2006 (滞在第1日目)


俺が泊まったホテルは、

街の中心部から地下鉄に10分ほど乗ったところ。

マンションや住宅が多い地区にある。


ホテルは街の中心部に多いし、旅行者には中心部の方が何かと便利だが、

それをあえて避けた。


なぜなら、カンプノウに近いところにしたかったからだ。

試合終了時間が遅いのと、

スタジアム周辺の盛り上がりを味わいたかったのだ。


さて、バルセロナを満喫する4日間の始まりだ!

ホテルを出て、まずは憧れのカンプノウへ向かう。

歩いて5分ほどの距離。


ホテルを出て通りを歩くと、大きなカンプノウのスタンドが見える。

試合まで、まだ30時間以上もあるのに気持ちが高ぶってくる。


それにしてもスペインの日差しは最高だ!

空は高く青く暖かく、空気はカラッとしてる。

メチャクチャ清々しい。


途中の住宅街や公園では、ワーワー言いながら子供達がボールを蹴ってる。

バルサのユニフォームを着ている子も多い。

どこへ行っても子供の一途さ、無邪気さは変わらない。

見てると心がなごむ。


 

  (写真)これがバルサのスタジアム「カンプノウ」


スタジアムに着くと、

まずはソシオのオフィスにチケットを引取りに行く。


ソシオというのは、FCバルセロナを支える会員のことだ。

ヨーロッパでは、ひとつのサッカーチームの組織全体をクラブというのだが、

他のクラブとバルサとは、その組織体系がちょっと違うのだ。


どう違うのかと言うと、

クラブは普通、少数の投資家や企業、または自治体が抱えているのが普通なのだ。

チェルシーのアブラモビッチ(ロシアの石油王)オーナーがいたり、

ユベントスのフィアット(自動車メーカー)だったり、

ACミランがベルルスコーニ(政治家)だったり、

Jリーグの場合、横浜マリノスの日産自動車などがその例だ。


でも、そういう出資母体がバルサにはない。

そう、その資金を出資しているのが一般の人で、

その人たちが会員としてクラブに登録する。

この人たちのことをソシオという。

このソシオが会費を出し合ってクラブを支えるのがバルセロナの独自のやりかたなのだ。


ソシオ会員はバルセロナ市を中心に世界中に十数万人いる。

バルサはその会費とテレビ放映権、グッヅ収入で成り立っているのだ。

他に各広告収入もあるにはあるのだが、

ソシオ制度を成り立たせているという自負が会員にはある。


昨シーズンまでユニフォームにスポンサーをつけていなかった

(そんなこともまでして、広告収入を得ようとしないこと)

のは、その表れなのだ。


それだけに、ソシオには特典が与えられている。

ソシオ会員の俺は、日本からチケットが予約出来る特典を利用した。

1ヶ月ほど前に、日本からFAXで申し込んでおいたから良い席が取れたワケだ。


価格も、日本で代理店を介しておさえると、

そこそこの席でも手数料(これが高い!)込みで3〜4万もするのだが、

それが、俺は一般販売価格よりも安いソシオ価格で購入できた。


メインスタンドのほぼど真ん中の1階席で14,000円。

バルサベンチの後ろ17列目という最高の席を確保できたんだ。

ソシオ制度さまさまである。


話しを旅行記に戻そう。


さて、チケットを受け取ろうと、カウンターへ。

手順通り、FAX送信した書類と会員証を見せる。

書類はバルサから送られたフォームに記入してあるので、

係員がわからないワケがない。

しかも、日本語とスペイン語の両方で書かれてるし。

今度はホテルみたいなことはないだろう。

そう思って係員に書類を手渡したんだ。


だが、またもや係員は他の従業員に確認するためか、奥に消えていった。

おいおい、どうゆーことよ!

何度か行ったり来たりしたあと、

大丈夫だから座って待っててくれ、という雰囲気でこっちを見た。


言葉では通じてないんだけど、

何となくニュアンスでわかっちゃうのが不思議だね。


数分するとその係員とその上司らしい人に呼ばれた。

係員の手元には1枚のチケットがある。

おー、これがバルサ戦のチケットかぁ〜、と思って見ると、

係員は内容を確認しろという仕草。

たしかに間違いないようだ。


全部スペイン語だが、チーム名、日付け、席種くらいはわかる。

『グラシアス』と礼を言って受け取った。


 

  (写真)これがチケット 半券がなくバーコードを入口で読み取る仕組み


明日の試合が、いよいよ楽しみになってきたぜ!



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第0章 Before the trip

第1章 旅立ち

第2章 エールフランス

第3章 欧州上陸

第4章 パリからバルセロナへ

第5章 来たぜバルセロナ!

第6章 聖地カンプノウ

第7章 言葉の壁

第8章 街へ

第9章 地中海

第10章 コロンブスの塔

第11章 バルセロナというクラブ

第12章 いよいよ試合開始

第13章 バルセロナvsオサスナ

第14章 サグラダファミリア 1