第10章 コロンブスの塔
September 8, 2006
地下鉄で「カタルーニャ」駅に戻る。 地上に出て、カタルーニャ広場から市内で一番の繁華街、ランブラス通りを歩く。 世界各地から来た観光客が一度は来るところだ。
通りには、ブランド店やみやげもの屋、レストラン、オープンカフェ、 売店などが並び、観光客を待ち受ける。 大道芸人もたくさんいる。が、 日本と違うのは、人が何かのオブジェを表現しているんだけど、 その表現があまりに前衛的なものが多くて解釈に悩む ・ ・ ・。
他にも、筆で漢字や水墨画を書く人がいた。 おっ日本人かな ・ ・ ・? と思ったら中国人だった。 やっぱり中国人は世界中にいるんだね。
通りの途中に、サンジョゼップ市場がある。 威勢のいいおばちゃんが海の幸、山の幸を売ってた。 洋の東西問わずおばちゃんはどこでも元気だね。 俺はそういう賑わいが好きで、アメ横とかにもよく行くのだけど、 ちょうど行った時間帯がシエスタ(昼寝の時間)だったので 多くの店は閉まっていた。 残念 ・ ・ ・。
ランブラス通りを最後まで通り抜けると、交差点の真ん中にコロンブスの塔がある。
塔のてっぺんにはコロンブスの像が立っていて、一方を指さしている。 コロンブスだから新大陸だろうと思いきや、 実は新大陸の方へは向いていないんだそうだ。 ちゃんと作れよな。スペイン人。
さっそく、登ってみた。 細い塔の中にはエレベータが1機あって上まで昇れるようになっている。 その古いエレベータは4人乗ればいっぱいになっちゃうほど小さい。 エレベータに乗ると、係員の気のいいオヤジが話しかけてきた。 「 Speak English? 」 俺『ア、リトル』 乗り合わせた白人のカップルも「 A little ・ ・ ・」 オヤジ「 Where are you come from? 」 俺が『ハポン(日本)』 乗り合わせた白人のカップルが 「 CHECH REPUBLIC(チェコ共和国)」 チェコなんて、こんなことでもない限り接点無いよな。
いつ着いたの?なんて話しをしてたら頂上に到着。 オヤジに「 グラシアス 」って言って降り、眺望を楽しんだ。
展望台は回廊のように円になっていて、バルセロナの街が360度見渡せる。 でもメチャメチャ狭くて人がすれ違うのがやっとなくらい。 海からの風で、塔が少し揺れているようにも感じた。
(写真)中央に見える塔がカテドラル(教会) その右奥にかすむサグラダファミリア
(写真)バルセロナ五輪も行われたモンジュイックの丘
目についたのは壁に書かれた落書き。 どこへ行っても落書きってあるんだね。 その落書きもワールドワイド。 世界中の人が世界中の言葉で書いてるから面白い。
塔を降り、ランブラス通り沿いのスーパーに立寄る。 物価って日本とどれくらい違うんだろうと思った。 ついでに夕食を買う。
ホテルに戻ろうと地下鉄に乗る。 途中の「 プラザ・デ・サンツ 」駅で乗り換え。 その乗換えの長ーい通路を歩いているとき、どこからか聞きなれた言葉が聞こえてきた。 最初は不自然とも思わなかったのだが、よく聞くと『ん?! 日本語?』 でもこんなところに日本人がいるのか? 後ろから話しかけられてるのか? 振り向いても誰もいない。 俺は相当疲れてるのか?
で、しばらく耳を澄ましてみると、 「そこのあなた。あなたの荷物、狙われてますよ。気をつけてください」と。 なんと、スペインの地下鉄の通路で 日本人に向けて日本語で注意を促すアナウンスが流れていた。
バルセロナでは、日本人はパスポートを持ち歩かなくてもコピーを持てば許されている。 日本人が標的になっていることを考えると、 単に治安だけの問題とは思えない。 世界では日本は経済大国として見られている。
国として、企業として、個人として、 日本人の世界の中での振る舞いに、哲学や主体性ははたしてあるのだろうか。 そのアナウンスを聞いて、そんなことまでが問われている気がしてならなかった。
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