第14章 サグラダファミリア(その1)
September 10, 2006
午前中のバルサの練習を見終え、 サグラダファミリアへ向かうために地下鉄の駅へ。
サグラダファミリアの最寄り駅は、その名も「サグラダファミリア」駅。
地下鉄のホームは地下深いところにあった。 ホームから、地上へ出る階段がとにかく長い。 ひたすら上がっていく。
階段の脇には日本のようにエスカレータがあるのだが、 犯罪の標的にならないように、 エスカレータは使わず、階段を上がるようにしていた。 意図しないでエスカレータの列に入ってしまったときは、 歩いて登るようにした。
地上に出ると、真ん前は普通のビルが並ぶ。 どこだ? と後ろ振り向くと、 おそろしく大きな建物が、そこにそびえ立っていた。
(写真)説明不要のサグラダファミリア 威圧感がもの凄い
何者をも黙らせるくらい、圧倒される威容。 ちょっとこの大きさは、 ガイドブックの写真では想像できない。 大きさとも、造りの素晴らしさとも違う、なんとも表現しがたい迫力がある。 建物なので動かないのだが、襲いかかってくるような雰囲気さえ感じる。 これを見ないで死ぬのは損だ。そう思わせる。
東側、西側には、それぞれ公園があって そこからみると塔の上までがよく見える。 写真を撮りたい人は、ここがお勧め。 周りの道路からだと、建物がデカすぎて一部分しかカメラに収まらない。 太陽の向きがあるので写真を撮るなら午前中がお勧め。
(写真)東側の公園より
周りの道路には、観光バスが次から次へと到着し、 いろんな人種がぞろぞろ降りてくる。 皆一様に上を見上げその威容に口を開ける。 違う人種、違う言語、違う価値観であろう彼らが、 皆同じ表情をするのが面白い。
入り口で入場料を払う。 大人は8ユーロだが、俺はバルセロナカードを見せて5ユーロ。 チケットは日本の観光施設のような印刷物ではなく、 ただのレシートだ。なんとも味気ない。
雑誌やテレビなどでこの建物の写真や映像を見ると、 必ずといっていいほどクレーンが写っている。 中に入っても柵で通路が囲まれていたり、建築資材が並べてあったりで 観光施設というより建築現場のようだ。 「世界で唯一の金を取る工事現場」なんて言われてるそうだ。
この日は日曜日で建築工事は休みだったが、 平日なら作っている様子が見られるそうだ。 外尾悦郎という日本人が 主任彫刻家として貢献しているのが見られるかもしれない。
完成までは、あと100年かかるとか50年だとか、 技術的に進歩してるから30年だとか噂されているが、 実際にどうなるかはわからない。
そんな工事期間のことよりも、どういうものを、どのような思いで作るのか。 この建物においてはその方が重要なのだろう。 そんな今の日本社会ではなかなか歓迎されない価値観が、 人間の本来の生き方らしい気がして羨ましいと思った。
この建物には南北に2つの門がある。 東側には「生誕の門」、西側には「受難の門」と呼ばれる。 それぞれの門の上には、ご存知の4本の塔がある。
(写真)生誕の門
(写真)受難の門
両方の門の塔のそれぞれ1本ずつに、エレベータがついていて、 上へ登れるようになっている。
(写真)塔の行程を記す案内板
ネット調べたときには、上まで上がれる階段があると書いてあった。 建物をじっくり見ようと思ったら自分のペースで見られるほうがいいので、 その階段を利用しようと思っていたのだが、 どこを探しても、上り用の階段は見つからなかった。
エレベータに乗るために長い列に並ぶのは、時間が惜しいと思ったが、 でもここまで来て登らないわけにはいかない。 しかたなく、列に並んだ。 「1時間30分待ち」の札のところまで、その列はあった。
並んでいるといろんな人が列の横を通り過ぎる。 肌の色もそれぞれだ。
京都などの日本の観光地にも、様々な人たちが訪れているのを見ているが、 ここに来ている人たちの多様性とは比較にならない。 やっぱり日本は世界のファーイースト(極東)であって、 訪れにくいところなんだろうな、などと思ったりした。
金髪の白人、黒髪の白人、黒人、集団で騒がしいアジア人、 たまに通る日本人は、どうしてなんだろう一目瞭然。 バルセロナで最も人気の場所とあって、ここでは何人もの日本人を目にした。 他の施設でもそうだったが、土産物コーナーは、どこも日本人ばかりなのには笑った。
長い間並んでいると、俺の周辺にいる様々な国の人たちのお喋りが聞こえてくる。 どの言葉も全くわからない。宇宙語が飛び交ってるようだ。 そんな現象が俺にはとても面白く感じる。 でも、どんな言葉がたくさんあってもいいが、 ヨーロッパでももう少し日本語のステータスがあればいいのに、などと思う。
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